最新記事

日本経済

勢い欠く日本企業の省力化・IT投資 人材不足や法規制が足かせ 

2017年7月11日(火)10時53分

7月11日、国内の設備投資に減速感が出てきた。人手不足を補う省力化やIT化投資を中心に設備投資を押し上げるとの期待感が強かったが、先行指標である機械受注に勢いがみえず、ウエートの大きい非製造業などで広がりに欠けているのが目立つ。埼玉県加須市の工場で2015年7月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

国内の設備投資に減速感が出てきた。人手不足を補う省力化やIT化投資を中心に設備投資を押し上げるとの期待感が強かったが、先行指標である機械受注に勢いがみえず、ウエートの大きい非製造業などで広がりに欠けているのが目立つ。

人材不足や法規制などの要因が足かせになっており、生産性改革で潜在成長力の浮揚とデフレ脱却を目指す政府ののシナリオに狂いが生じかけている。

機械受注は2期連続減少へ

「人手不足で機械化投資が活発化すると言われていたが、今のところ、企業からはあまり聞かない」──。

内閣府は、企業からのヒヤリングで、期待していたような省力化投資の話は、4─6月期に続き、7─9月期についても出てきていないと打ち明ける。

5月機械受注は事前の期待より受注額が伸びず、4月に続いて前月比3%台の減少となった。受注額は2四半期連続の減少となる公算が高まっている。

通常、機械受注は半年程度のタイムラグを置いて国内総生産(GDP)ベースの設備投資に影響すると言われている。GDPベースの設備投資は、今年前半は伸びが続く見通しだが「秋以降の設備投資が鈍化する可能性がある」(みずほ総研・主任エコノミスト・徳田秀信氏)との見方が浮上している。

政府は、実質2%・名目3%の経済成長達成に向けて、安倍晋三首相主導で「生産性向上国民運動推進協議会」を立ち上げたほか、未来投資戦略を策定して、ロボット革命や自動化の推進を盛り込んだ。

こうした動きが人手不足と相まって、今年は加速するとみられていたが「機械受注は、人手不足感の強い業種で期待外れだった」(SMBC日興証券・シニアエコノミスト・宮前耕也氏)といった声も聞かれる。

人手不足で難しくなった業容拡大

足元の人手不足感は一段と厳しくなっており、有効求人倍率は43年ぶりの高水準に跳ね上がった。しかし、省力化投資が期待ほど盛り上がっていない背景には、何があるのか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

高島屋、今期営業益予想を上方修正 百貨店コスト削減

ビジネス

午後3時のドルは151円後半に下落、米中対立懸念の

ワールド

トランプ氏、26日にマレーシア訪問 タイ・カンボジ

ビジネス

金価格、最高値更新続く 米利下げ観測などで銀も追随
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 10
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中