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食べつくされる「自撮りザル」、肉に飢えた地元民の標的に

2017年4月5日(水)15時56分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

生態系に影響も

スラウェシ島の自然生息地は凄まじいペースで減っている。1980年に300平方キロメートルあった自然生息地は、2011年には45平方キロメートルに激減。40年間で約8割以上減少したことになる。

クロザルの減少が生態系に及ぼす悪影響も懸念される。NGO団体のステファン・レンティは、「クロザルが種子を分散させ、樹木の生長を促す」と指摘している。

NGOや地方自治体は、教育機関に対し動物保護に関するカリキュラムを策定し提出するよう求めるなどの取り組みを始めた。同国はイスラム教信者が多いことで知られるが、キリスト教の教会では、人間が地球を守る立場として動物愛護を勧めるよう啓蒙活動が行われている。

しかしながら保護活動を進めても、住民たちが肉に飢えている事実は変わらない。ある者は、すでに生息地の喪失で減少するクロザルに、住民の飢えが重なり圧力がかかると警鐘を鳴らす。スラウェシ州で野生動物の保護に携わるサイモン・パーサーは、野生動物の捕食行為で「クロザルの絶滅が決定的になる」と語った。

【参考記事】国連報告「地球は既に限界点」

【参考記事】「不法移民防止の壁」で死にゆく野生動物

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