最新記事

英王室

英女王「死去」の符牒は「ロンドン橋が落ちた」

2017年3月17日(金)15時20分
ジェイソン・ルミエール

報道機関も女王の「有事」には備えている Dominic Lipinski-REUTERS

<英紙ガーディアンの調査報道で、今年90歳のエリザベス女王については60年代から死去の際の行動計画が練られていたことがわかった>

イギリス史上、国王として最も長い在任期間を誇るエリザベス女王。その女王が死去した時は、機密通信である符牒が流される――「ロンドン橋が落ちた」。このメッセージで、10日間にわたる綿密な葬儀が幕を開けるのだ。

大多数のイギリス人にとって、エリザベス女王は生涯唯一の国王だが、政府関係者や報道機関は、女王の死去のしらせに不意を突かれることがないよう長年準備を進めてきた。

英紙ガーディアンが今週掲載した調査記事によると、コードネーム「ロンドンブリッジ」と呼ばれるこの行動計画は、1960年代にはすでに存在し、今世紀に入ってからも2~3回の更新が行われている。

【参考記事】ウィリアム王子が公務をさぼって美女と大はしゃぎ、英でバッシング

リハーサルを本気に

1952年に前国王ジョージ6世が死去した当時とは違い、女王死去の知らせは数時間ではなく数分間で知れ渡る。しかし厳密な手順も残されている。イギリス首相が報告を受けた後、女王が君主となっている15の国の政府に伝えられ、続いて残りのイギリス連邦の国々の元首に伝えられる。

【参考記事】エリザベス英女王が90歳に、祝賀行事開催される
【参考記事】エリザベス女王90歳 素顔がのぞく珍言集

公共放送BBCも、かつてのように最初に知らされる特権は持たないが、それでもかなり大がかりな緊急報道態勢を組んでいる。女王死去のニュースが入れば、冷戦時代に構築された無線警報放送システム(RATS)のスイッチが入る。

しかしBBC内部でも、RATSが「くたばりそうな王族(royal about to snuff it)」というジョークになる程、ほとんどの職員はこのシステムがどういうものかわかっていないという。

民間放送のITVやスカイニュースでも、女王死去後の特別編成について定期的なリハーサルを実施している。その際には、警戒が広がらないよう、女王の代わりに「ロビンソン夫人」という名前を使っている。

2015年には、実際にリハーサルが外部に知られたことがあり、この時にはBBCの記者がリハーサルを聞いて、本当に女王が死去したと信じ込み、ツイッターでニュースを流してしまった。

【参考記事】トランプ「異例の招待」に英国民猛反発でエリザベス女王の戸惑い

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

伊ウニクレディト、独コメルツ銀の30%超取得へ公開

ワールド

UAEフジャイラ港、原油積み出し停止 ドローン攻撃

ワールド

イスラエル軍、レバノン南部で「限定的」地上作戦 ヒ

ワールド

米中、トランプ氏訪中巡り協議 中国外務省
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 3
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングアップは「2セット」でいいのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 6
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 7
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    ぜんぜん身体を隠せてない! 米セレブ、「細いロープ…
  • 10
    50代から急増!? 「老け込む人」に共通する体の異変【…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中