最新記事

航空業界

LCCが殺到! 関空が描く「アジアハブ」の野望

2017年2月28日(火)11時40分
中川雅博(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

民営化後の関空は好調だ。ただ課題がないわけではない。アジアのLCC路線が増える一方で、大手フルサービスキャリア(FSC)が運航する欧米路線は減少傾向にあるのだ。特に欧州路線はテロの影響による観光需要の減退などで4年前に週38便だったのが、直近では週22便まで減った。

「FSCの誘致には時間がかかる。現在検討している新路線に対する着陸料の値下げなど、航空会社のサポートになることをできるだけ行っていきたい」とムノント副社長は話す。

新ターミナルは不公平?

また、新しい国際線用第2ターミナルの入居について、航空会社から不満の声が上がっている。先述のように利用するのはピーチと春秋航空の2社だ。だが同じく関空を拠点の一つにしているジェットスタージャパンは、「第2ターミナルを使用する2社以外のLCCは、(関空において)公平な競争環境にはない」(会社側)と指摘する。

というのも、現在国際線を運航するLCCは上記2社以外は他のFSCも乗り入れる第1ターミナルを利用している。第2ターミナルはもともとLCC向けに低コストで作られた施設なので、航空会社のかかるコストが低く不公平だという。関西エアポートによれば、第1、第2とも着陸料や停留料は同じだが、たとえば預け手荷物の運搬システムの使用料は第1のほうが高く、第2には搭乗橋がないためコストが安く済むといった違いがある。

ジェットスターは「2012年の就航時から第2ターミナルの利用を希望していたが、受け入れ容量がいっぱいとの理由で希望はかなっていない」(同)とする。一方の関西エアポートは「今後国際線の便数が増えて施設が逼迫すれば、新たなターミナル建設も視野に入れる」という。

国内空港の民営化第1号案件として、関空は業界内外から注目を集めている。新会社発足1周年を経て、真価が問われるのはまさにこれからだ。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米雇用統計、4月予想上回る17.7万人増 失業率4

ワールド

ドイツ情報機関、極右政党AfDを「過激派」に指定

ビジネス

ユーロ圏CPI、4月はサービス上昇でコア加速 6月

ワールド

ガザ支援の民間船舶に無人機攻撃、NGOはイスラエル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 8
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 9
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中