最新記事

台湾

苦境にある台湾メーカーの未来を「台湾エクセレンス」に見た

2016年10月17日(月)19時19分
高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)

<台湾の優秀製品が並ぶ展示会「台湾エクセレンス」が東京で開催された。高いデザイン性と技術力を備えた製品の数々が並ぶイベントから、台湾の現状と「新味はなくとも着実」という方向性が透けてみえる>

 2016年10月7日から9日にかけ、東京駅隣、丸の内のKITTEで「台湾エクセレンス in 東京」 という展示会が開催された。「台湾エクセレンス」とは台湾経済部が認定した優良製品を意味する。いわば台湾版のグッドデザイン賞というところか。1993年から認定が始まり、今年で24回目を数える。

 7日には開幕イベントが行われ、藤原紀香さんがトークショーを行ったこともあり、多くのマスコミが集まった。もっとも私をはじめとするガジェット好きは展示された製品に興味津々、トークショーも上の空だった。

 さて、台湾の著名ブランドというと、自転車やパソコン、携帯電話などが有名どころだ。この日も10月下旬に発売が決まっているASUSの薄型ノートパソコン「Zenbook3」の試作機、同日から日本発売が始まったスマートフォン「ZenFone3」、大手自転車メーカー「ジャイアント」の各種スポーツサイクルなど有名ブランドが注目を集めていた。だがそれだけではない。デザイン小物から玩具、スマート機器、フローリング材、アイディア・スポーツ用品、アパレル、化粧品などなど、さまざまなジャンルの製品が展示されていた。

【参考記事】「テック界の無印良品」シャオミは何がすごいのか

 印象的だったのがソラス(般若科技株式有限公司)のブランド「大古鉄器」だ。創業者の林允進氏自らが説明してくれたが、まずその流暢な日本語に驚かされた。それもそのはず、東京大学で博士号を取得した経歴の持ち主だという。1985年に船舶やジェットスキーのスクリュー製造を手がけるソラスを創業。今や大手日本メーカーにも部品を提供する世界的企業へと発展を遂げた。日本でも知る人ぞ知る存在だ。

takaguchi161017-1.jpg

大古鉄器(撮影:筆者)

「スクリューメーカーがなぜ鉄瓶?」と誰しも不思議に思うだろう。林氏は妻である蔡秋琦さんの健康のため鉄瓶、鉄鍋を使うよう医師に勧められたが、伝統的な鉄器には有害な残留物が残っている可能性があることがわかり、自分で作るしかないと決意した。中国の伝統文化をモチーフとしたクラシカルなデザインと漆を塗った落ち着いた色合いが目につくが、その中身にはスクリュー製造で培った技術が詰まっているという。妻への愛情と最新技術が詰まった製品という開発ストーリーだけでも魅力的な製品だ。

takaguchi161017-2.jpg

MOSIA(撮影:筆者)

 他にも建材メーカーのMOSIAはエコ建材として注目を集める竹のフローリング材を出展していた。気温が高い台湾では竹の成長が早く品質もいいという。「no.30」というブランド名で亜鉛合金製のユニークな灰皿や小物入れを展示していたフリーフォーム(富利豊国際有限公司)は、もともと浴室関係の部品を作るOEM(相手先ブランドによる製造)メーカー。その技術を生かして、デザイン性あふれる小物のブランドに乗りだした。台湾エクセレンスに加え、台湾文化部が主催するクリエイティブ製品の見本市「フレッシュ・タイワン」にも提携メーカーとしても名を連ねている。

takaguchi161017-3.jpg

no.30(撮影:筆者)

 Aidmics Biotechnologyのスマート玩具「μHandy」も注目の製品だ。スマートフォンのカメラに装着できる顕微鏡だが、プレパラートではなく透明なシールを使うことで簡単に保管、観察できる。収集した素材を保存するためのノートもあり、リスの毛などのサンプルまでセットになっている。

takaguchi161017-4.jpg

μHandy(撮影:筆者)

ニュース速報

ワールド

辞任するつもりはない=麻生財務相

ワールド

原油先物、14年終盤以来の高値近辺

ワールド

米司法副長官、トランプ氏にロシア捜査の標的でないと

ワールド

英中首脳が電話会談、化学兵器使用「容認できず」と表

MAGAZINE

特集:技能実習生残酷物語

2018-4・24号(4/17発売)

アジアの若者に技術を伝え、労働力不足を解消する制度がなぜ「ブラック現場」を生むようになったのか

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    「僕はゲイリー19歳、妻は72歳」 青年が恋に落ちた53歳上の女性とは

  • 2

    「ヒトラーが南米逃亡に使った」はずのナチス高性能潜水艦が見つかる 

  • 3

    こんなエコノミーは嫌だ! 合理的すぎる座席で、機内はまるで満員電車?

  • 4

    ジェット旅客機の死亡事故ゼロ:空の旅を安全にした…

  • 5

    金正恩は「裏切り」にあったか......脱北者をめぐる…

  • 6

    「家賃は体で」、住宅難の英国で増える「スケベ大家」

  • 7

    ナゾの天体「オウムアムア」の正体 これまでに分か…

  • 8

    怖くて痛い虫歯治療に代わる、新たな治療法が開発さ…

  • 9

    アマゾン・エコーが、英会話の練習相手になってくれた

  • 10

    米中貿易戦争は中国に不利。習近平もそれを知ってい…

  • 1

    「僕はゲイリー19歳、妻は72歳」 青年が恋に落ちた53歳上の女性とは

  • 2

    こんなエコノミーは嫌だ! 合理的すぎる座席で、機内はまるで満員電車?

  • 3

    アメリカの2度目のシリア攻撃は大規模になる

  • 4

    「家賃は体で」、住宅難の英国で増える「スケベ大家」

  • 5

    フェイスブックはなぜ全米を激怒させたのか

  • 6

    おどろおどろしい溶岩の世界!?木星の北極の正体が…

  • 7

    韓国で隣家のコーギー犬を飼い主に食べさせようとし…

  • 8

    地球外生命が存在しにくい理由が明らかに――やはり、…

  • 9

    日本の空港スタッフのショッキングな動画が拡散

  • 10

    4年前に死んだ夫婦に赤ちゃん誕生! 中国人の祖父母…

  • 1

    日本の空港スタッフのショッキングな動画が拡散

  • 2

    ユーチューブ銃撃事件の犯人の奇妙な素顔 「ビーガン、ボディビルダー、動物の権利活動家」 

  • 3

    「金正恩を倒せ!」落書き事件続発に北朝鮮が大慌て

  • 4

    「家賃は体で」、住宅難の英国で増える「スケベ大家」

  • 5

    金正恩が習近平の前で大人しくなった...「必死のメモ…

  • 6

    「僕はゲイリー19歳、妻は72歳」 青年が恋に落ちた5…

  • 7

    ヒトの器官で最大の器官が新たに発見される

  • 8

    「パスタは食べても太らない」──カナダ研究

  • 9

    2度見するしかない ハマってしまった動物たちの異様…

  • 10

    金正恩がトランプに懇願か「あの話だけはしないで欲…

日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版

SPECIAL ISSUE 丸ごと1冊 プーチン

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2018年4月
  • 2018年3月
  • 2018年2月
  • 2018年1月
  • 2017年12月
  • 2017年11月