最新記事

香港

「イギリス領に戻して!」香港で英連邦復帰求める声

2016年9月16日(金)10時10分
パトリック・ウィン

Bobby Yip-REUTERS

<独立どころかイギリスとの「再統一」を求める運動が台頭。そんな仰天案を大まじめに唱える勢力の真意とは>(写真は、イギリス領復帰を唱える運動の看板)

 中国政府が香港の独立に向けた動きを非難するのは、今に始まったことではない。中国共産党の間で香港は、イギリスの植民地だった名残で欧米の政治思想に毒された反乱分子が集う場所と見なされている。

 そうした共産党の疑念に呼応するかのように今、香港で「独立運動」が起きている。この運動の支持者らが求めているのは自由選挙の徹底や本土からの完全独立ではない。彼らの望みとは、香港をイギリス領に復帰させ、エリザベス女王を元首に頂くというものだ。

 より急進的な勢力の間でも、さすがにこれはとっぴな考えとして受け取られるだろう。彼らですら、中国政府にもっと自治を認めさせるという、謙虚な目標しか掲げていない。

 しかし、この「香港・英国再統一運動」は規模こそ極めて小さいものの、支持者らは至ってまじめだ。

【参考記事】自国を守る「防護壁」の北朝鮮に利用される中国

 30代のグラフィックデザイナー、頼綺雯(ライ・チーウエン)は今月初めに実施された立法会(議会)選挙に出馬し、運動を推進しようとした。だが出馬の申請は即座に不受理となり、彼女のほかにも5人の出馬希望者が香港の独立を扇動しているという理由で届け出を却下された。
 
 最終的な選挙結果では、親中派が40議席を得て過半数を維持したものの、普通選挙を目指す「民主派」と、香港を本土と見なす急進勢力「本土派」が合わせて30議席を獲得した。

共産党の干渉が強まる

 香港独立を望む声は決して少数派というわけではない。最近香港で実施された世論調査によると、6人に1人は「独立に賛成する」と答えている。とはいえ、今回出馬を認められなかった6人の中でも、香港の英国領復帰という大胆なビジョンを思い描いているのは頼だけだ。

 香港は150年以上にわたってイギリスに統治され、97年に中国に返還された。このとき中英両国は、「高度な自治」と「一国二制度」の原則を香港に約束することで合意した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアとウクライナ、新年の攻撃に非難応酬 ヘルソン

ワールド

スイスのバー火災、約40人死亡・100人超負傷 身

ワールド

石油タンカー追跡、ロシアが米に中止を正式要請 米紙

ワールド

ロシア、ウクライナ攻撃の証拠を米に提供 プーチン氏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 10
    【現地発レポート】米株市場は「個人投資家の黄金時…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中