最新記事

イギリス

EU離脱のイギリス、企業に採用落ち込みの「前兆」

2016年9月14日(水)10時33分

 9月13日、マンパワーは英国企業の採用見通しを発表した。写真はロンドン中心部を歩く通勤者ら。2012年7月撮影(2016年 ロイター/Andrew Winning/File Photo)

人材派遣・就職支援サービス会社マンパワー・グループは13日、英国企業の第4・四半期の採用見通しを発表した。採用動向に大きな影響を及ぼす金融・企業向けサービスと建設、公益事業で、採用意欲を示す指標がそれぞれ4ポイント低下した。

マンパワーは英国の雇用市場全体が落ち込む「前兆」かもしれないと警告している。

今回の調査は英国が6月に欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を決めて以降初めてで、2000社を対象に調査した。貧困度合いの高い地域の方が指数の落ち込みが大きく、ウェールズと北アイルランドでは第3・四半期と比べて6%下がった。一方、スコットランドは2%の低下にとどまった。

全体をならしてみると、企業は第4・四半期に解雇数を上回る人数を採用する方向だ。ロンドンやイングランド北西部で企業の採用意欲が増したほか、業種別では農業やホテル、小売業で採用予定が増えていることが寄与し、全体の企業採用見通し指数は横ばいのプラス5%となった。

英国の失業率は過去3年間で大きく低下したが、ブレグジットに伴う先行き不透明感から向こう数カ月から数年の間、再び上昇する見込みだ。

ポンド安の影響で競争力が向上するはずの製造業の採用意欲は2ポイント下がり、3年ぶりの低い水準となった。

マンパワー・グループは、調査は「英国の雇用市場に厳しい試練が待ち受けているという致命的な警告だ」とした。

英国担当を率いるマーク・カーヒル氏は「ブレグジットによる最初のショックを経て、経済の先行き不透明感が長引く新たな局面を迎えた」との声明を出した。

EUの単一市場から英国が離脱することで、EUで事業を展開する英企業は新たな障壁に直面することとなるかもしれない。



[ロンドン 13日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、19日にロシア・ウクライナ首脳と

ビジネス

日産、追浜と湘南の2工場閉鎖で調整 海外はメキシコ

ワールド

トランプ減税法案、下院予算委で否決 共和党一部議員

ワールド

米国債、ムーディーズが最上位から格下げ ホワイトハ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 5
    MEGUMIが私財を投じて国際イベントを主催した訳...「…
  • 6
    配達先の玄関で排泄、女ドライバーがクビに...炎上・…
  • 7
    大手ブランドが私たちを「プラスチック中毒」にした…
  • 8
    米フーターズ破綻の陰で──「見られること」を仕事に…
  • 9
    メーガン妃とヘンリー王子の「自撮り写真」が話題に.…
  • 10
    iPhone泥棒から届いた「Apple風SMS」...見抜いた被害…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 5
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 8
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 9
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 10
    宇宙の「禁断領域」で奇跡的に生き残った「極寒惑星…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中