最新記事

人工知能

Airbnbは、どのように人工知能を活用しているのか?

2016年9月13日(火)17時03分
Team Nelco (Nissho Electronics USA)

 この宿泊需要の予測ツールは、何百ものパラメータに基づいています。それぞれのパラメータがどのように価格に影響するかがモデル化され、予測に使われています。例えば次のようなものがあります。

立地

 地区によって当然価格の相場は変わってきます。自動的にエリア分けをするアルゴリズムが用いられており、地域毎の価格差を反映しています。

kdtree.jpg

自動的に地域分けされたサンフランシスコとオークランド

写真

 Airbnbでは、機械学習により、どのような写真が予約されやすいかを明らかにしています。 プロの写真家が評価するのはリビングルームの綺麗な写真ですが、実際にゲストが予約するのは、居心地の良さそうなベッドルームを掲載している部屋のようです。

レビューの平均と総数

 レビューの数や総数も、ゲストが判断する基準となります。レビューの高いホストは、高い価格でもゲストを獲得しやすくなります。

ローカルイベント

 例えば、SXSWというイベントが開かれるアメリカのAustinでは、SXSWの時に価格が何倍にも急騰します。自分が知らない間にイベントが開催されていることは珍しくなく、とても重要な指標です。

 しかし、Airbnbの価格の決定は様々な要素が絡み合っており複雑です。さらには、ホストが貸し出す部屋もホテルのように画一なものではありませんし、ホテルがないような場所でも様々な場所にホストが存在します。精度が今ひとつという声もあり、例えば、あなたがAirbnbのPricing Tipsを使うと損する5つの理由 というブログでは、次のような不満が述べられています。

 ・Airbnbでは1日ごとの宿泊料金の他、クリーニング代が必要なので、1日や2日などしか連続で宿泊できない場合は1日あたりの宿泊代が高くなるが、これがうまく考慮されていない
 ・日曜日は土曜日よりも需要が少ないと考えられるのに、日曜日の方が高い価格に設定することを勧められることがある
 ・自物件の過去の結果のデータを利用していないのではないか」

 どの時期が需要が高いかなどを知るには十分かもしれませんが、ツールに価格を全て任せることはまた難しいのかもしれません。ただ、Airbnbは、このツールは価格の予測と予約の結果を学習していき、精度を高める仕組みを持っていると述べており、より高い精度で予測が可能になることが期待されます。
参考:Aerosolve: Machine learning for humans

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米、相互関税上乗せ分適用「8月1日から」 交渉期限

ビジネス

マクロスコープ:政府、少額貨物の消費免税廃止を検討

ワールド

ロシア外相、イラン核問題巡る紛争解決に向け支援再表

ビジネス

グーグルのAI要約、独立系出版社からEU独禁法の申
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 9
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 10
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中