最新記事

映画

X JAPANの壮絶な過去と再生の物語

2016年2月23日(火)16時00分
ポーラ・メヒア

magc160223-03.jpg
独自のスタイル リーダーのYOSHIKI PASSION PICTURES

 スティーブンには、僕たちの歴史はダークで悲しいけど前向きな作品にしてほしいと頼んだ。

キジャク でもそれは「マジソンスクエア・ガーデンでライブをやったんだぜ!」とか華やかに成功した姿で伝えるものではない。これは再生と生還の物語なんだ。

 ファンたちの熱狂ぶりを見ていると、彼らはX JAPANの音楽に救済されているようだ。傷ついた人々が、彼らの音楽に流れる痛みに自分たちの傷痕を見ている。陳腐な言い方かもしれないが、本当に人々を救っていると思う。

──まったく陳腐なんかじゃない。私もデビッド・ボウイに救われた。

YOSHIKI 彼は僕が海外へ進出した理由でもある。彼にインタビューしたことがあって、「素顔の自分とステージ上の自分の境界線はどこに引いているのか?」と質問した。彼は答えられなかった。

──最初からマジソンスクエア・ガーデン公演を軸に制作する計画だった?

キジャク 1つの要素にすぎなかったが、編集段階でそうなった。撮影準備期間がほとんどなく、撮影に入ってからいろいろなアイデアが生まれてきた。 

 ステージの裏でも、YOSHIKIやほかのメンバーの秘話や美しい世界がたくさんあった。

 YOSHIKIは絶対にうまくやれない、リハーサルは絶対に間に合わないと思う瞬間もあったが、最後には完璧なライブを見せる。それもドラマだった。

──映画監督のデービッド・リンチが少し映っていて驚いた。

キジャク そうなんだ。リンチはX JAPANのシングル「Longing~途切れたmelody~」のCMスポットを演出したことがある。YOSHIKIはいつも誰かに舞台裏を撮らせていたから、偶然映っていたみたいだ。

 そういう映像を何気なく見ていたときに発見して驚いた。リンチがメガホンを持って、全裸で砂浜に立っているYOSHIKIに叫んでいた。結局その映像を映画に使った。

YOSHIKI ソニーと契約していたとき、彼らは僕が来週か明日にも死ぬかもしれないと思っていた。だから僕がすることは全部撮っておけと言って、そのときから舞台裏を撮影するようになった。

──映画に入れたかったけど入れられなかったものはある?
キジャク PATAが2語以上しゃべってくれてたらと思うよ(笑)。何もしゃべらないメンバーがいるから。

YOSHIKI みんなバンドの打ち合わせのときにも話さない! 僕が90%ぐらいしゃべって、ToshIも少し口を開いて。だから映画で見られるのは本当にありのままの僕ら。演技なしの自然な姿だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA

ビジネス

根強いインフレ、金融安定への主要リスク=FRB半期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 6

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中