最新記事

人道危機

難民の半分は子供で過去最大に

世界の難民4500万人の半分は、内戦や紛争で親を失い庇護を求める子供たちだ

2013年6月20日(木)16時28分
ジェームズ・ミラー

新たな犠牲 今年に入り急増しているシリア難民は、まだ国連の数にも入っていない Muhammad Hamed-Reuters

 シリア内戦のような武力紛争などで国外に逃れた難民や、自国内で移動を強いられた避難者は94年以来で最多の数に上っている。
 
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が19日に発表した報告書によると、12年末時点の難民・国内避難民は計4520万人。うち1540万人が難民で93万7000人が庇護申請者、2880万人が国内避難民だ。保護者がいない、または親と離ればなれになって庇護を申請しているも子供も、昨年はかつてない数に上った。

 報告書は各国政府やNGO、UNHCRが集計したデータに基づく。紛争や迫害のために、昨年だけで約760万人の難民・国内避難民が発生したという(難民は110万人、国内避難民は650万人)。平均で1日あたり約2万人が住居を追われている。

 最大の理由は紛争だ。紛争から抜け出せずにいる5カ国――アフガニスタン、ソマリア、イラク、シリア、スーダン――が、昨年の難民総数の55%を占めている。

 さらに衝撃的なのは、全難民のうち約半数が18歳以下の子供だということ。昨年は2万1300人の子供が新たに庇護申請をしている。過去最大の数字だ。

 多くの国が支援活動を強化し、高まり続ける難民問題の解決策を模索している。難民の増加は特に途上国にとって大きな負担。というのも、難民の80%以上を途上国が受け入れているからだ。ただし昨年は受け入れ数トップのパキスタン、2位のイランに次いで、ドイツが3位になった。

 これらの数字には、今年に入って急増しているシリア内戦の避難民は含まれていない。UNHCRによれば11年に内戦が始まって以来、シリアからの難民は160万人に上っている。国連難民副高等弁務官のアレクサンダー・アレイニコフは、今年末までにシリア難民は計300万人以上に達するだろうと述べている。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏、和平巡る進展に期待 28日にトラン

ワールド

前大統領に懲役10年求刑、非常戒厳後の捜査妨害など

ワールド

中国、米防衛企業20社などに制裁 台湾への武器売却

ワールド

ナジブ・マレーシア元首相、1MDB汚職事件で全25
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中