最新記事

対中ビジネス

高齢者の年金を駐在員に払わせる中国

崩壊寸前の社会保障制度を立て直すため、増え続ける外国人に負担を求める新制度が始まる

2011年10月18日(火)16時37分
キャスリーン・マクラフリン

不公平? 外国人は15年以上中国で働かないと年金の支給を受けられない Bobby Yip-Reuters

 中国国内で働く30万人近い外国人駐在員に対し、社会保険と年金制度への加入を義務付ける計画が進んでいる。実現すれば、彼らの収入の28%が保険料として徴収されることになる。

 中国の国営メディアは10月17日、外国人駐在員に社会保険料の支払いを求める新制度が数日前に施行されたと報じた。もっとも、施行の実態についての詳細は不明瞭だ。報道が事実なら駐在員にとっては大きな負担となるが、今のところ外資系企業から反対の声は聞こえてこない。

 外国人駐在員は高額の保険料を支払っても、15年以上中国に滞在しないかぎり年金の支給を受けることはできない。問題山積の医療制度をはじめとする年金以外の社会保障についても、恩恵を受けられる見込みは薄い。この政策は、急激に進む高齢化と労働人口の縮小によって揺らいでいる年金制度を立て直す方策の1つではないかとの憶測もある。

 チャイナ・デイリー紙によれば、中国で働く外国人駐在員の数は増え続けている。「好調な経済に魅力を感じて中国に働きに来る外国人の数が増えている。人事社会保障省の統計によれば、2009年末の22万3000人だった外国人労働者の数は、2010年末には23万1700人に増えた」


GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金融政策の具体的手法、日銀に委ねられるべき=高市首

ワールド

最近の長期金利、「やや速いスピード」で上昇=植田日

ビジネス

米当局、エヌビディア製半導体密輸の疑いで中国人2人

ワールド

一国の経済財政担う者として金利や為替は当然注視=高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 10
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中