米ステーブルコイン、世界決済システムを不安定化させる恐れ=アムンディ幹部

米議会上院が先月可決したドル連動型のステーブルコイン(法定通貨などに価値が連動する暗号資産=仮想通貨)の規制枠組み案「ジーニアス法」について、欧州最大の資産運用会社、アムンディ・アセット・マネジメントのバンサン・モルティエ最高投資責任者は、ドルのステーブルコインが普及すれば「世界の決済システムが不安定化しかねない」との懸念を示した。同社ロゴの資料写真。パリで2023年2月撮影(2025年 ロイター/Sarah Meyssonnier)
[ロンドン 3日 ロイター] - 米議会上院が先月可決したドル連動型のステーブルコイン(法定通貨などに価値が連動する暗号資産=仮想通貨)の規制枠組み案「ジーニアス法」について、欧州最大の資産運用会社、アムンディ・アセット・マネジメントのバンサン・モルティエ最高投資責任者は、ドルのステーブルコインが普及すれば「世界の決済システムが不安定化しかねない」との懸念を示した。
ジーニアス法は今後下院を通過し、トランプ米大統領が承認する見通し。他の国々は、自国民がドルのステーブルコインを購入すれば経済の「ドル化」を招きかねないと懸念している。
モルティエ氏はロイターに対し、ジーニアス法は「ジーニアス(天才的)かもしれないし、邪悪かもしれない」と懸念を口にした。
JPモルガンの予想では、ステーブルコインの流通量は今後数年で倍増して5000億ドルに達する見通し。一部では2兆ドルに上るとの推計もある。
ステーブルコインはドル資産の裏付けが必要なため、米国債の購入につながるとみられる。財政赤字に悩む米国にとっては恩恵となる一方、国内外で問題も引き起こす恐れがある。
モルティエ氏は「ドルの代替通貨が生まれ、ドルはさらに下落しかねない。国がステーブルコインを推進すれば、ドルがさほど強くないというメッセージになるからだ」と語った。
同氏はまた、人々はいつでも引き出せると想定して資金をステーブルコインに預けるようになり、ステーブルコインが「準銀行」と化す可能性もあると指摘した。