最新記事

東南アジア

タイ首相候補はタクシンの妹?

政治的混乱が続くタイで首相候補に急浮上したタクシン妹の求心力は

2011年5月17日(火)16時57分
パトリック・ウィン

大物の兄 タイ政界でモノを言うのはインラックの華麗なキャリアでも美貌でもない Chaiwat Subprasom-Reuters

 7月3日に総選挙が行われるタイ。政権交代を狙う最大野党・タイ貢献党の首相候補として、米ケンタッキー州で教育を受け、ビジネスの手腕もある若き女性政治家が登場した。

 最近までインラック・シナワットへの注目度はそれほど高くなかった。だが今のタイは、彼女が首相になるのではという話題で持ちきりだ。そうなれば同国史上初の女性首相が誕生する。

 インラックとは何者か? 彼女は43歳の既婚女性で子供が1人いて、企業経営についても幅広い経験を持つ。ケンタッキー州立大学で政治学の修士号を取得した後、タイのモバイル通信大手AISと、不動産大手SCアセッツで要職を歴任した。

 だが何より重要なのは、06年の軍事クーデターで国外追放されたタクシン・シナワット元首相の妹であること。汚職罪で実刑判決を受けたタクシンは服役を避けるため国外で生活しているが、いまだにタイ政治で強烈な存在感を放っている。昨年、首都バンコクを大混乱に陥らせた反政府デモはタクシン追放と、裁判所が下したタクシン派・タイ愛国党の解散命令に対する反発で激化した面もある。

 インラックが所属するタイ貢献党は総選挙でかなりの票を集めると思われ、第1党になる可能性もある。多くの人口を抱える農村地帯であり、かつ政治意識の高まりつつある北東部で圧勝するのはほぼ間違いない。

 だがタイ貢献党には不利な点も多々ある。総選挙で最多票を集めたとしても、勝利を確固たる物にするための連立協議はうまくいきそうにない。

 インラックの政治的手腕は未知数だ。しかしメディアの注目が集まる中、今後数週間でタイ国民もアジア問題ウォッチャーも、彼女の人となりはどうか、困難な状況下でどう立ち回るのかがもっとつかめるはずだ。

GlobalPost.com 特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、トランプ政権と新たな安保協定協議へ=F

ビジネス

サウジアラムコ、40億ドル起債 需要好調でスプレッ

ワールド

ウクライナのドンバス撤退「和平への道」、ロシア特使

ビジネス

ネトフリのワーナー買収案、英政治家らが厳正審査要求
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに...宇宙船で一体何が?
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 6
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 9
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 10
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中