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人権

遂に「鳥の巣」作者まで拘束した中国政府

2011年4月6日(水)17時58分
キャスリーン・マクラフリン

外国の意見を無視しても失うものはない

 これまでなら、国際社会の中国政府への批判はある程度の影響力を持っていた。しかし時代は変わったようだ。

 中国の言論弾圧や人権問題の監視を続けるアメリカの人権NGO米中対話基金会のジョシュア・ローゼンズワイグによれば、欧米は中国の人権問題を取り巻く環境変化に適応し切れていないのが現状で、事態の打開は困難だ。「中国の外交的・経済的な重要性の高まりによって、今や人権問題は議論されるべき多くの重要な問題の1つにすぎなくなってしまった」と、ローゼンズワイグは言う。「中国もそれを理解していて、人権問題を他の問題と切り離し、『主権』や『法治』をより声高に主張することで個々の事件への関心をそらそうとしている」

 艾だけでなく、先週には中国系オーストラリア人作家の楊恒均(ヤン・ヘンジュン)が拘束されて後に釈放される事件も起きたが、ローゼンズワイグは現状が変化するとは思えないと言う。

「中国はジャスミン革命をチャンスと捉え、中国国内の表現の自由に関する『ゲームのルール』を修正するために利用している」と、ローゼンズワイグは言う。「国際的な人権基準を遵守すべきだという欧米の声に中国は注意を払うだろうか。そうすることで中国のメリットはあるのか」

 外国の意見を無視したところで、今の中国に失うものはないだろう。

GlobalPost.com特約

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