最新記事

中国

次期国家主席の妻は国民的スター歌手

「次のトップ」習近平の妻、彭麗媛は共産党も利用したがる人気歌手

2011年3月7日(月)13時38分
メリンダ・リウ(北京支局長)

表舞台へ 人気ぶりは夫の習近平も顔負けの彭麗媛は「国家主席の妻は地味であるべし」という概念を覆しそうだ(YouTube)

 中国で最も有名な「政治家の妻」といえば、毛沢東の夫人であり、文化大革命で悪名をとどろかせた江青。彼女が91年に死去して以来、国家主席夫人が進んで表舞台に出ることはなかった。胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席の妻、劉永清(リウ・ヨンチン)もその1人だ。しかし、そんな状況は来年から一変するかもしれない。

 胡の後継者と目される習近平(シー・チンピン)国家副主席の妻、彭麗媛(ポン・リーユアン)は全国的に有名な歌手だ。アメリカ人ジャーナリストのロバート・ローレンス・クーンは以前に習と会った際、当時の江沢民主席とポーズを取る人民解放軍歌舞団の写真を見せられた。習は歌舞団メンバーの1人を指さして、うれしそうに言ったという。「これが誰だか知っているか? 私の妻なんだ!」

共産党のプロパガンダに利用

 1度離婚歴のある習が彭に求愛し始めたのは80年代。一部の報道によれば彭の両親は当初、習を共産党幹部の親に甘やかされて育った「小さな君主」と見なし、渋い顔をしていたという。だが習はめげずに彭と付き合い続け、結婚にこぎ着けた。

 共産党は「国家主席の妻は地味であるべし」という鉄則に反して、彭をプロパガンダに利用しようと考えているようだ。党の出版物には、少将の階級を有する彭の人民解放軍に対する敬愛や、軍人として彼女が払っている犠牲が記されている。

「兵士である彭は、これまでコンサートや広告の仕事をする機会を何度も棒に振ってきた」と、数年前の文書には記されていた。他の芸能人が着実にキャリアを積み上げていくなか、彭が自身の立場に「やや戸惑っている」様子が同情的につづられていた。「しかし自分の歌で素晴らしい兵士たちに深い感動を与えられること、それは掛け替えのない栄光と名誉であることを彼女は知っている」

[2011年1月26日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米司法省、FRBに財務状況の明確化要請 CFPB資

ワールド

メキシコ・ブラジル首脳が自制と対話呼びかけ、ベネズ

ワールド

原油先物1%超上昇、米のベネズエラ制裁対象タンカー

ワールド

欧州議会、ロシア産ガス輸入停止計画を承認 2027
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中