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シャトル廃止で危ぶまれるハッブルの運命

2010年4月7日(水)16時02分
トニー・ダコプル

 4月15日にフロリダ州で開催される宇宙政策に関する会議で、オバマ米大統領は宇宙飛行を民間企業に委託する案を含む、新たな宇宙探査構想を発表する予定だ。

 宇宙飛行を民間に委ねる方針に関しては、既に疑問視する声が上がっているが、もう1つ大事な問題が見過ごされている。「偉大なる宇宙の目」とたたえられてきたハッブル宇宙望遠鏡の未来が閉ざされることだ。

 スペースシャトルは90年にハッブルを宇宙に運び、その後も5回の修理ミッションを行ってきた。今後しばらくアメリカの有人宇宙船が打ち上げられないとなれば、ハッブルの修理も行われず、次に故障するか電池が切れたら永遠に使えなくなってしまう。

宇宙の起源の解明も中断か

 ハッブル宇宙望遠鏡の運営を行う宇宙望遠鏡科学研究所は現在、宇宙の起源と進化に関する最大規模の調査プロジェクトを計画している。今のハッブルが引退した後は後継の宇宙望遠鏡が打ち上げられる予定だが、修理なしに順調に作動するとは限らないからだ。

 国際宇宙ステーション(ISS)への飛行切符を売るだけで儲けることのできる民間企業が、望遠鏡の修理を行う可能性は低い。ある研究者は嘆く。「こういうことのためにこそ、政府が存在するのに」

[2010年4月14日号掲載]

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