最新記事

2016年米大統領選

大統領選共和党候補たちの不安だらけの外国ツアー

共和党有力候補のブッシュ、ウォーカー、ルビオは前国務長官のクリントンに外交で太刀打ちできるか

2015年6月26日(金)11時00分
ウィリアム・ドブソン

最有力 ベルリンでメルケル独首相とツーショットを撮るジェブ・ブッシュ Fabrizio Bensch-REUTERS

 米大統領選に名乗りを上げる政治家にとって、外国訪問は避けて通れない通過儀礼になっている。訪問先は主に、ロンドン、ベルリン、テルアビブなど、緊密な同盟国の首都や主要都市だ。東京を訪れる場合もある。

 州知事や上院議員が世界のリーダーたちと会談し、国際的課題に精通していることを示す機会はめったにない。そうした場で立派に振る舞えれば、有権者に「次の大統領」としてイメージしてもらいやすくなる。

 来年の大統領選への出馬を予定する共和党の政治家たちには、この通過儀礼が特に重要な意味を持つ。本選挙では、前国務長官である民主党のヒラリー・クリントンと争う可能性が高いからだ。しかしこれまでのところ、外国訪問でかえって不安材料を露呈する結果になっている。

 大統領選を目指す政治家の外国訪問のお手本は、08年のオバマ候補(当時は上院議員)のベルリン訪問だ。オバマはベルリンの野外で20万人を超す市民を前に演説し、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領の外交に終止符を打つと宣言した。

 来年の大統領選に挑むジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事も今月ベルリンを訪れ、政財界のリーダー1000人を前に講演を行った。しかしこの講演では、父であるジョージ・H・W・ブッシュ元大統領が冷戦終結と東西ドイツ統一で果たした貢献を強調し、不人気な兄ジョージ・W・ブッシュには触れずじまいだった。

馬脚を現した最有力候補

 結局、ジェブ・ブッシュのベルリン訪問は、兄ブッシュ政権がいまだに記憶に新しいなか、有権者がブッシュ家の大統領を望むのかという疑問をあらためて際立たせただけだった。

 それでも、外交を論じようとしただけ評価できるのかもしれない。共和党の有力候補の1人であるウィスコンシン州知事のスコット・ウォーカーは、先月イスラエルを訪問した際、メディアの質問を受け付けなかった。代わりにエルサレムで撮影した写真をツイッターに投稿したが、これではまるで観光客だ。有権者は、ウォーカーの中東政策について評価のしようがない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科の社債権者、返済猶予延長承認し不履行回避 

ビジネス

ロシアの対中ガス輸出、今年は25%増 欧州市場の穴

ビジネス

ECB、必要なら再び行動の用意=スロバキア中銀総裁

ワールド

ロシア、ウクライナ全土掌握の野心否定 米情報機関の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 10
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中