最新記事

知る権利

秘密主義化する米政府

2013年12月5日(木)14時45分
デービッド・ケイ・ジョンストン

 最近は、政府文書を「私的文書」だと主張したり、文書公開と国民の利益に関係がないと主張したりして公開を拒むパターンも増えている。

 作家のグレッグ・ムティットが『火に油──占領されたイラクの石油と政治』の執筆過程で情報公開を求めた際も、そのような対応をされたという。

 ムティットの弁護士であるケル・マクラナハンによれば、2人の政府機関職員は、「もっと切実な問題があるので、この件に関心を持つ国民はいないだろう、という不可解な理由」で請求を拒否した(筆者はマクドゥーガルと同じ著者エージェントと契約しており、ムティットの著書の出版元の仕事もしているが、本稿に記した情報はエージェントや出版元とは関係ない経路で知ったものである)。

 政府機関は、読者数が少ないという理由で、定期刊行物による情報公開請求や手数料免除申請を拒むケースもある。「国民の理解に大きく資する可能性」が乏しい、という論法だ。

 ジャーナリストが裁判に訴えても、上訴審にもつれ込めば長い年月と裁判費用が掛かる。非効率で腐敗した政府職員たちの高笑いが聞こえてきそうだ。

[2013年12月 3日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国防長官、「中国の脅威」警告 アジア同盟国に国防

ビジネス

中国5月製造業PMIは49.5、2カ月連続50割れ

ビジネス

アングル:中国のロボタクシー企業、こぞって中東に進

ワールド

トランプ氏、鉄鋼・アルミ関税50%に引き上げ表明 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 4
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語…
  • 5
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 6
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 7
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 8
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 9
    第三次大戦はもう始まっている...「死の4人組」と「…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 4
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 6
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 10
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中