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米外交

アフガニスタン一辺倒の大き過ぎる代償

2009年12月3日(木)17時58分
デービッド・ロスコフ(カーネギー国際平和財団客員研究員)

 イランの核問題は、見当違いの課題に目を奪われているとどうなるかを示すいい例だ。前ブッシュ政権のイラク偏重と、アフガニスタンに資源を投入するという、オバマが春に下した時期尚早の決断のせいで、イランに核保有の試みは損だと思い知らせるのは一段と難しくなった。世界最大のテロ支援国家が核を保有すれば、アフガニスタンやイラクのどんな事態よりずっと深刻な脅威になるのはほぼ間違いない。

 それでも結局のところ、私はあくまで楽観論にこだわり、オバマの決断が最善の結果をもたらすと期待している。国際テロ組織アルカイダとタリバンに何発か激しい攻撃を加え、アフガニスタンが目に見える形で安定し、そのうえで米軍が撤退する。そんなシナリオを、オバマ陣営が望んでいるのは明らかだ。

 歴史に残る出来事は、他のことに気を取られている間に起きる。われわれがアフガニスタンでの戦争などに目を奪われているかぎり、歴史を作るために建設的な役割を果たす代わりに、歴史のほうがわれわれの身に降りかかってくることになりかねない。

Reprinted with permission from David J. Rothkopf's blog, 03/12/2009. ©2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

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