ブラックホールが「弾丸」のようなガスを連射...宇宙に吹き荒れる超高速の風とは?
Supermassive Black Hole Fires Gas 'Bullets' - Never Seen Before
今回の研究で研究チームは、XRISMを用いて、PD456からのガスのアウトフローを観測した。その結果、この風が光速の20〜30%の速度で移動していることがわかった。
実際、ブラックホール近傍で発生した風が持つエネルギーは、「銀河規模で広がった風(銀河バルジ[銀河の中心にある膨らんだ部分]に匹敵する大きさを有する風)」が持つエネルギーと比べて1000倍以上という莫大な量にのぼっていた。このことからこの風は、これまで考えられていたよりも、より重要な役割を担っている可能性が示唆される。
研究チームはまた、この風は、従来考えられていたような滑らかな構造の風ではなく、少なくとも5種類の異なる速度のガスで構成されており、それぞれが異なる速度で宇宙空間を移動している(いわば、大量の「弾丸」が撃ち出されるように、ぶつぶつとした構造の風が吹いている)ことも発見した。
研究チームによると、このことから2つの説が示唆されるという。1つ目は、まるで間欠泉の爆発のように、ガスが間を置いて噴出されているという説。2つ目は、周囲を取り囲む星間物質の隙間を縫ってガスが飛び出している、という説だ。
(翻訳:ガリレオ)