「答え」より「気づき」がほしいあなたへ...自己理解を促すAIコーチ「AIMY」

2025年3月28日(金)14時00分
菊池大介

──日本市場における導入状況や、今後の展開・課題について教えてください。

大塚 私が約3年前に参画し、日本事業を立ち上げて以降、人材投資全体に対する注目度が急速に高まっていると感じています。

データで見ると、日本の企業による人材投資はアメリカの20分の1程度とも言われており、まだまだ改善の余地がありますが、最近はその流れも徐々に変わりつつあります。コーチングもその一環として、企業の関心が高まっています。

ですので、日本市場にはまだまだ大きな伸びしろがあると感じています。特に、JTさんに代表されるような大手の伝統的な企業の中で、今まさに「働き方の変革」が進んでいます。たとえば、ジョブ型雇用に象徴されるように、社員自身がキャリアのオーナーシップを持つという考え方が広がってきています。

この「キャリアオーナーシップ」と、自己と向き合うプロセスであるコーチングは非常に相性が良いと考えています。だからこそ、今後ますます必要とされていくだろうと思っていますし、とりわけ変革の真っ只中にある大手企業こそが、こうした新しい取り組みを取り入れるアーリーアダプターになるのではないかと見ています。

そうした流れの中で、我々としても日本市場の成長にしっかりと寄与していきたいと考えています。

日本国内では、JTをはじめ、最近ではNECグループのNEC VALWAYとの取り組み事例も動画で公開しており、大手企業での導入が着実に進んでいます。

──導入企業の中で「意外だった企業」などはありますか?

大塚 「意外」というわけではありませんが、最近特に関心が高まっているのが「女性活躍推進」との関連です。グローバルではDEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)に揺らぎも見られますが、日本では特に「女性管理職を増やしたい」というニーズが強く存在しています。

社内にロールモデルが少ない女性管理職候補に、社外のコーチをつけるというのは非常に効果的で、コーチングの需要が高まっている領域だと感じています。

──CoachHubはソフトバンク・ビジョンファンドから出資を受けていると伺いました。

大塚 ソフトバンク・ビジョン・ファンド2からシリーズCラウンドで出資を受けています。この出資はグローバル全体への支援という位置づけで、日本市場に特化したパートナーシップではありません。

──資金面やIPOに関する計画について、現時点でお伝えできることはありますか?

大塚 具体的な内容についてはお伝えが難しいのですが、当社は2018年に創業し、現在は社員数が世界で500名弱、17カ国にスタッフを抱える企業へと成長しています。

ドイツでの創業から数年でグローバル展開を進めてきたことを踏まえ、次のステージとしての選択肢は当然視野に入っています。

ただ今は、新たにリリースしたAIコーチAIMYを通じて、これまでリーチできていなかった層に価値を届けていくことに注力しているフェーズです。どのように市場に受け入れられるかが、現在の非常に重要な局面だと捉えています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日産社長、ホンダとの協業協議「加速している」

ビジネス

英インフレ上振れも、想定より金利高く維持する可能性

ビジネス

ソフトバンクG、1―3月期純利益5171億円 通期

ビジネス

独ZEW景気期待指数、5月はプラス転換 予想も上回
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 6
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 7
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 10
    ハーネスがお尻に...ジップラインで思い出を残そうと…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 8
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 9
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中