最新記事
古生物学

ティラノサウルス科の初記録も!獣脚類の歯が明かす白亜紀の多様性

Dinosaur Teeth Found by Quarryman Revealed to Be Tyrannosaur's: 'Exciting'

2024年12月9日(月)17時20分
アリストス・ジョージャウ
獣脚類の歯が語る白亜紀の物語 Fausto García-Menéndez-Unsplash

獣脚類の歯が語る白亜紀の物語 Fausto García-Menéndez-Unsplash

<英国南部の採石場で発見された恐竜の歯化石が、1億3500万年前の白亜紀の肉食恐竜の多様性を明らかにした>

英国南部で、採石作業員として働いていた男性が恐竜の歯の化石を複数発見した。調べたところ、およそ1億3500万年前という先史時代に、同地域にはさまざまな種類の肉食恐竜が生息していたことが明らかになり、研究者らは胸を躍らせている。

古生物学者チームが、獣脚類(後ろ足で二足歩行する肉食恐竜)の歯の化石5点を調査したところ、それぞれ異なる恐竜群に属していることが明らかになった。それらの恐竜群は、ティラノサウルス科やスピノサウルス科のほか、ヴェロキラプトルなどを含むドロマエオサウルス科だ。獣脚類は、二足歩行で、大半は肉食の恐竜だが、実にさまざまなグループで構成されている。たとえば、巨大捕食者の「ティラノサウルス・レックス(Tレックス)」から、現代の鳥類の祖先である小型種まで幅広い。

古生物学ジャーナル『Papers in Palaeontology』で発表された最新研究の対象となった歯の化石は、イングランド南東部の町、ベクスヒル=オン=シーで見つかった。正確には、その郊外にあるレンガ工場「アッシュダウン・ブリックワークス」の中にある、ペヴェンジー・ピットと呼ばれる採石場だ。

これらの歯の化石のうち4つは現在、博物館で保存されている。発見したのは、同工場内の採石場で採石作業員として働いていたデイヴ・ブロックハーストだ。彼は、先史時代に生息していたさまざまな動物の化石標本を、30年近くにわたって大量に収集してきた。ここで獣脚類の化石が見つかるのは非常に珍しいそうで、ブロックハーストがこれまで発見した獣脚類の標本はおよそ10点に過ぎない。研究者らによると、同地域にあるこの年代の堆積物においてティラノサウルス科の化石が確認されたのは、今回の最新研究が初めてだという。

英サウサンプトン大学の客員研究員で、研究論文の筆頭著者であるクリストファー・バーカーは、本誌に対してこう述べた。「この地域にあるこの時代の堆積物で獣脚類が見つかるのは珍しいため、これらの標本は貴重であり、科学的に重要な意味をもつ。われわれは、どの種が存在していたのかを解明して生態系構造を再構築し、英国内のよく知られた他地域のものと比較したいと考えた」

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRBは利下げ余地ある、中立金利から0.5─1.0

ビジネス

訂正-再送-米ワーナー、パラマウントの買収案を拒否

ビジネス

企業は来年の物価上昇予測、関税なお最大の懸念=米地

ビジネス

独IFO業況指数、12月は予想外に低下 来年前半も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中