最新記事

韓国社会

韓国、犬の虫下し薬でがん治療 患者相手に違法な輸入代行まで

2019年12月5日(木)18時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

韓国でがんが治ると話題になっている犬用虫下し薬 YTN / YouTube

<わらにもすがりたい患者には、いつか治るという心のよりどころが必要だが......>

犬用の虫下し薬ががんに効く!? そんなウソのような話が韓国で話題となっている。この話題は、当初がん患者のコミュニティーサイトを中心に口コミで広がっていたが、お笑い芸人キム・チョルミンが、この虫下し薬を購入し服用していることをSNSでアップしたことで一気に注目されるようになったのだ。

今年8月、キム・チョルミンは肺がんのステージ4と診断されたことを自身のフェイスブックで公表した。その後、肺以外にも骨、リンパ腺、肝臓にも転移したが、ファンから薦められた犬の虫下しの服用を始めたという。

現在、服用開始してから10週目。本人のSNSによると服用開始7週目の時点で、血液検査の数値は正常となり、肝臓の数値も以前に比べ安定し良好だという。果たしてこの犬用の虫下し薬の効果は本物なのだろうか?

人気に目をつけた個人輸入での転売も

前述のがん患者のコミュニティサイトへの投稿を見ると、虫下し薬の成分「フェンベンダゾール」ががん治療に有効性を発揮するという。もちろん、今のところその効果は、医学的に証明されていない。

それでも商品を求める患者は後を絶たず、韓国内では品薄状態が続いており、海外のショッピングサイトから個人輸入する人も増えていて、ネットで「フェンベンダゾール」で検索をかけてみると、輸入物を販売する広告がずらりと登場する。

しかし、動物用の薬は「動物薬品等取扱規定法」により、許可された動物病院及び、動物薬局でのみ販売可能と決まっている。もしも、無許可で個人販売している場合には、5年以下の懲役か5千万ウォン(約450万円)以下の罰金にあたる違法行為だ。また、合法的に手に入れたとしても、そもそも動物用の薬であるため、飲み合わせなどによって人体に悪い影響を与えてしまうかもしれない。

また、最近では動物用の虫下しが品薄で手に入らないため、人間用の虫下し薬を購入する人が増え、売り上げを伸ばしているという。動物用にしても人間用にしても、医師の許可なく大量に服用するがん患者が出てくるのではないかと心配されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 3
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 4
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 4
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中