最新記事

仮想通貨

フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心

MEET FACEBOOK’S NEW CRYPTOCURRENCY

2019年6月29日(土)14時10分
アーロン・マク

情報管理の在り方を問われているフェイスブックが通貨制度を扱うことに懸念の声も PORING/SHUTTERSTOCK

<メール感覚で決済できるステーブルコイン「リブラ」――強力な資源を武器にフェイスブックが金融サービス参入へ>

フェイスブックが仮想通貨「リブラ」の詳細を発表した。サービス開始は20年の予定。スポティファイやeベイ、マスターカード、ペイパルなど既に約30の企業が参画を表明し、個人間の送金や、商品やサービスの購入に使うことができる。

リブラのブロックチェーンの構築と運営は、スイスに本拠を置く非営利団体「リブラ協会」が行う。フェイスブックとは別の独立した組織で、さまざまな業界の企業が参加している。

フェイスブックの今回の発表は、仮想通貨への参入だけでなく、金融サービス企業になるという宣言でもある。

多くの仮想通貨と違って、リブラは投機資産ではなく決済手段として設計される。ビットコインやイーサリアムなど主要な仮想通貨は、日常の決済に使うことは難しい。理由の1つは、仮想通貨の価格が市場の需要によって決まり、乱高下することも珍しくないからだ。

それに対し、リブラは基本的に国が発行する法定通貨など従来の金融資産を担保とする「ステーブルコイン」であり、価格を安定させる。テザーなど米ドルに連動していると主張する仮想通貨もあるが、実際に巨額の「保証金」を保有していることが証明されていないとして、疑問視されている。一方でフェイスブックは、より実績のある企業で莫大な資源を持つ。

フェイスブックのメッセージアプリであるメッセンジャーやワッツアップにリブラ用のデジタルウォレットが組み込まれ、メッセージを送るように、瞬時に送金したり、米ドルなどの法定通貨に交換したりできる。手数料は、ほぼかからないとみられている(例えばビットコインは法定通貨への換金に数日かかり、5月のレートで1回当たり2.50ドルの手数料が要る)。

利用者は登録の際に各国政府が発行したIDが必要で、銀行口座やデビットカードを使ってリブラを購入する。オンラインや個人間の売買のほか、サブスクリプション(定額利用)の支払いにも対応する計画で、信用枠の設定や口座の開設、融資などの仕組みも視野に入れている。

世界一危険な独占企業

ただし、安定していて利用しやすい仮想通貨は、仮想通貨本来の魅力に欠ける。

仮想通貨の基本は非中央集権型のネットワークだが、リブラのブロックチェーンはリブラ協会が管理する(ドラッグの売買など違法な目的で使われることを防ぐためでもある)。また、利用の際に身分証明が必要なことは、非中央集権型の通貨の利点である匿名性を排除する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾総統「26年は重要な年」、主権断固守り防衛力強

ワールド

再送トランプ氏、シカゴやLAなどから州兵撤退表明 

ビジネス

ビットコイン、2022年以来の年間下落 最高値更新

ワールド

ゼレンスキー氏「ぜい弱な和平合意に署名せず」、新年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中