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廃プラスチック、どう循環させる?――循環を「当たり前」に。LIXILの地域サーキュラー

2025年10月30日(木)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

「地域で生まれ、地域で使う」モデルの実装

さらに2025年3月には、同工場が立地する三重県津市と「カーボンニュートラルの実現に向けたプラスチック資源循環の推進に関するパートナーシップ協定」を締結し、新たな一歩を踏み出した。

これは、津市内の家庭から出るプラスチックごみを回収し、久居工場で「revia」製品に再生し、市内の公園や公共施設で活用するというモデルで、「地域で生まれ、地域で使う」サーキュラーエコノミー(資源循環モデル)を具体化するものだ。

この地域内サーキュラーエコノミーは、輸送エネルギーの抑制による「CO₂排出量の削減」、「廃棄物削減」、「地域内経済の循環」という複数の課題解決を同時に図る取り組みであり、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」にも資するものだ。

現場の手応えも確かなものとなっている。サンプルを手に取った顧客からは「分別って大事なんだな」「日本の廃プラスチックの7割以上が、リサイクルされずに燃やされているなんて、恥ずかしながら知らなかった」といった声が上がり、分別の徹底と技術の掛け合わせでリサイクル率を高める必要性への共感が得られたという。

廃プラスチックに新たな価値を与えるアップサイクルが、直感的に伝わった瞬間だ。栗原氏は「誰もが無理なく循環に参加できる選択肢を増やしたい」と話す。

今後の課題についても「環境価値に加えて製品としての魅力をさらに磨き、プレミアムだから選ばれるのではなく、多くの場所で当たり前に使われる存在へ育てることにあります」と語る栗原氏。

まずは国内での展開と市場定着に注力するが、将来的には、現地需要の把握やパートナー選定を通じて海外展開も視野に入れていくという。「revia」の価値をより広く社会に届けていく構えだ。

廃棄物を資産へ、課題を価値へ――。150カ国以上で事業展開するグローバル企業として、ぜひとも「revia」の輪を海外にも広げてもらいたい。

◇ ◇ ◇

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