最新記事
SDGsパートナー

「水の可能性」を探究し、環境改善と経済成長の両立を目指す赤塚植物園グループの挑戦

2024年12月26日(木)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
アマモ場

再生したアマモ場。活魚店が生簀(いけす)用に汲み上げた海水をFFC製品を使用して水質改善を行い、その水を隣接する海に戻していたところ徐々にヘドロが減少し、15年前から姿を消していたアマモが復活したという

<水資源を有効活用することで、自然環境を守り、持続可能な社会の構築を目指す赤塚植物園グループ。水をめぐる問題の解決に向けて独自の技術で挑んでいる>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

姿を消していたアマモが再生

水は生命の源であり、あらゆる産業の基盤を成す、かけがえのない資源だ。しかし、世界では人口増加や気候変動、環境汚染の影響により、「安全できれいな水」を手に入れることが困難になっており、社会・経済活動に深刻な影響を与える喫緊の課題となっている。

赤塚植物園グループは、水というこの重要なリソースの可能性を探求することで、安全かつ安心なモノづくりと、持続可能な社会を目指している。

創業者の故赤塚充良氏は、植物の生産や販売を行う中で、植物と水との密接な関係に強い関心を抱き、1984年、水の機能性に関する研究を開始した。着目したのは「太古の海水」だ。

海水中の鉄分が生物の誕生や進化に大きな影響を与えたとされており、「太古の海水のような水を再現できれば、現代の生物や環境にも有用なのではないか」と考えたという。

東京大学名誉教授・東京農業大学名誉教授の故杉二郎氏の指導も受け、長年の研究の末に、水の機能を活性化させる技術を開発。研究を着想する原点となった水溶性二量体鉄塩(Ferrous Ferric Chloride)にちなみ、「FFCテクノロジー」と名付けられた。

この技術は、酸化と還元のバランスを整えることで動植物の機能を高め、土壌の改質や水の活性化を促進し、環境全体を改善することが期待できるという。

赤塚植物園グループでは、これを応用した製品を、健康食品、スキンケア、水改質、土壌改質の主に4つの分野で展開。

また、特殊なセラミックスであるFFCセラミックスを使った水質活性化のための活水器などを家庭や産業向けに販売やレンタルを行い、全国で900社以上が利用。FFCセラミックスは貯水槽に設置したり、これが充填された活水器を水道管に直結したりすることで比較的容易に導入できるという。

農業や水産、食品工場、飲食店、プールなど、幅広い事業で導入が進んでおり、農業分野では、品質向上や収量増加、薬品使用の減少、畜産や水産養殖では、死亡率の低下や臭気の軽減につながっているという。

newsweekjp20241224031055-39b14f1dfa53096dc808c851113dd81c9231b898.jpg

水改質が期待できるFFCセラミックスは、農畜水産業をはじめ、食品工場、飲食店、ホテルやプールなど様々な業種や規模に対応している

特に象徴的な事例が、同社製品を使って生簀(いけす)の水質改善に取り組んでいた活魚店が、毎日40トンの水を隣接する海に戻していたところ、徐々にヘドロが減少し、長年姿を消していた海草の一種であるアマモが再生したというものだ。最終的には15万坪の広大なアマモ場になったという。

このように、環境負荷の低減だけでなく、自然環境の再生に繋がった事例が報告されている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 3
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 4
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 5
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 8
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 9
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 9
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 10
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中