生肉を喰らう「肝臓王」の完全肉食生活は、本当に健康的なのか？...「栄養とリスク」を専門家が語る

ボジャラジ医師もまた、加工食品を減らす、睡眠を優先する、日光を浴びる、身体を動かす、電磁波の曝露を避けるといったレバーキングの「教義」の一部には、妥当な面があるとして次のように述べる。

「HGH（成長ホルモン）の件には深入りしませんが、私の臨床経験から言えることは、地味な習慣こそが、本物の健康をもたらすということです。質の良い睡眠、意識的な食事、日々の運動、こうした基本が持続的な健康につながるのです」

　

肉食ダイエットの実情

特に若年層の間で、生の内臓を食べることが当然視される風潮は、倫理的な問題もはらんでいる。たしかに一部の栄養素は豊富かもしれないが、それらの栄養素を得る、もっと安全な方法は他にもあると専門家たちは強調する。

「多くの人がクレアチンをサプリで補うのは、その方が安全だからです。生肉を食べるよりも、身体的にも認知機能的にも恩恵が得られます」とボールズ氏は語る。

もともとマニアックな存在だった「カーニボア・ダイエット（肉食ダイエット）」は、レバーキングのような人物の影響でSNS上で注目を集めたが、賛否両論だ。

この食事法では、肉類、ニワトリなどの家禽（かきん）、卵、魚介類、乳製品、水のみを口にする。支持者はそのシンプルさと栄養の密度を強調するが、「栄養が極端に偏っており、健康リスクも大きい」と批判者は警鐘を鳴らしている。