「自分が正しいと思いたいのは、あなたの自惚れでは?」...反論できないニーチェの指摘【3分だけ哲学】
では、そのように解釈させる力とは何なのでしょうか。ニーチェはそれを「力への意志」と呼びました。今の自分を乗り越えてよりパワーアップしていきたいという根源的な意志です。
過去の哲学は、人間の「力への意志」が解釈し、自分が強くなれるような論理を「真理」としていたということになります。
あなたが信じていること、それってあなたの解釈ですから
人間のすべての思考や言動は、なんらかの基準や価値評価というフィルターを通過した後に出力されたものです。これは学問的な説明であっても、また道徳的な説明であっても同じことです。
ニーチェは様々な著作で、人間の欲望的・感情的な力が、論理的な判断を捻じ曲げてしまう例を上げています。
「なぜ反対するか。----人はしばしばある意見に反対する、ところが本当はそれの述べられた調子だけが同感できないのにすぎないのだが」(『人間的、あまりに人間的』)
反論の内容の真偽はどうでもいい。とにかく、自分が優位に立ちたいからとりあえず「それはどうかなぁ?」とか言っておいて、あとから反論の内容を考えるということでしょう。
自分の意見を曲げたくないのは自惚れているから
「意見の固執。----ある者が意見に固執するのは、彼がひとりでにそれを思いついたといくらか自惚れているからであり、またある者がそうするのは、彼が苦労してそれを学んだからであり、それを理解したのを誇りにしているからである。したがってどちらも虚栄心からでている」(同前)