最新記事
恐怖

「わが子を殺したい」衝動に取りつかれた母...「産後うつ」よりも恐ろしい「まさかの病」の正体は?

Mom Wanted to Kill Me

2025年3月12日(水)15時26分
トゥルーディ・ベイヤー(教育者)
産後精神病を患ったジェニー・バーミリオンと娘のトゥルーディ・ベイヤー

母親(左)は筆者(右)を産んだ後に産後精神病を患った TRUDY BAYER

<70年以上前に私を出産した後に母が患ったのは、産後鬱病より重篤で今も認知度の低い精神疾患だった──>

猛烈な更年期障害。母は1948年に私を産んでからの長患いを、こう表現していた。

実際には、母を苦しめていたのは産後まれに発症する産後精神病だった。この病気の深刻さを、何十年もたってようやく私は理解してきた。産後に生じる他の病気との恐ろしい違いは、わが子を殺したい衝動に駆られることだ。


母、ジェニー・バーミリオンは1907年、オハイオ州で5人姉妹の長女として生まれた。

34年、大恐慌のさなかに私の父と結婚。ペンシルベニア州南西部で暮らし、14年後に夫婦で営む農場ごと引っ越した。母はこの時、妊娠8カ月。40歳で4人の息子の子育てに追われる母にとっては避けたい苦境だったが、神の意思を受け入れた。

わずか6週間後、冬至の日に母は私を出産した。母にとって長い暗闇の始まりだった。

奇妙な考えに取りつかれ

母が自分の症状を打ち明けたのは、私が40代後半になってからだ。何げなく、「ママ、具体的にはどんな感じだったの?」と聞くと、母はせきを切ったように話し始めた。

私を産んで数週間たった日曜日の朝。母と私以外の家族が教会に行った後、母は「前触れもなく」平静を失った。落ち着こうとして私を連れて外に出た母は、奇妙な考えに取りつかれ始めた。なかでも最悪なのは、私を殺さなければならないという考えだった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ギニアビサウでクーデターか、軍幹部が権力掌握宣言 

ワールド

英、既存石油・ガス田での新規採掘を条件付き許可へ 

ビジネス

中国工業部門利益、10月は5.5%減 3カ月ぶりマ

ワールド

暗号資産企業の株式トークン販売巡る米SECの緩和措
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中