最新記事
生態系

鳥類の肺に高濃度のマイクロプラスチック検出...ヒトへの影響は?【最新研究】

Warning Over Microplastics in the Air We Breathe After Bird Lung Discovery

2025年3月9日(日)10時00分
イアン・ランドル(科学担当)
カワセミ

HenkvanDorp-pixabay

<分析の結果、鳥の肺の組織から32種類のマイクロプラスチックが...。テキサス大学の国際研究チームによる警鐘>

鳥類が高濃度のマイクロプラスチックを肺に取り込んでいる。そして、同じ空気を吸う私たち人間の影響はまだ解明されていない...。

テキサス大学アーリントン校(University of Texas at Arlington)の生物学者シェーン・デュベイ助教を含む国際研究チームが警鐘を鳴らしている。

研究チームが鳥類に着目した理由として、人間と生息環境が同じで、地球上のあらゆる場所に生息しているからだ。デュベイ助教は次のように語る。


 

「本研究は、環境中のプラスチック汚染に緊急に対処する必要性を浮き彫りにしました。これらの汚染物質は、生態系だけでなく、ヒトの健康にも多大な影響を及ぼす可能性があるためです。プラスチック汚染が生態系やヒトの健康に広く影響を及ぼす可能性があるため、今後、さらなる研究と対策が必要です」

デュベイ助教らは、中国の成都天府国際空港周辺で51種の56羽の野生の鳥を捕獲し、肺組織を分析した。この地域はヒトの活動が活発であり、また空港の野生動物管理プログラムの一環として選ばれた。

研究チームは鳥の肺を2種類の化学分析により調査。レーザーを用いた高度な顕微鏡技術「レーザー直接赤外線イメージング(LDIR)」により、マイクロプラスチックの粒子を検出。

さらに「熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法(Py-GC/MS)」を用い、より小さなナノプラスチックも特定した(マイクロプラスチックは5ミリ以下、ナノプラスチックは0.001ミリ以下の極小サイズでヒトの毛髪よりもはるかに小さい)。

鳥の肺から最も多く検出されたのは、塩素化ポリエチレン(CPE/電線の絶縁材などに使用)とブタジエンゴム(BR/タイヤの原料となる合成ゴム)だった。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中