最新記事
ヘルス

血糖値が正常な人は12%だけ。「砂糖よりハチミツが健康」と思っている人が知るべき糖との付き合い方

2022年11月9日(水)20時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

glucosebook20221109-1-1.jpg

RyanKing999-iStock.

そして、誤った情報がはびこっている。たとえば、フィリピンのココナツシュガーの大手メーカーが、ココナツシュガーはふつうの砂糖より健康的だとするデータを発表したが、その後、間違いであることが証明された。

もう、おわかりだろう。色や、味、原料の植物にかかわらず、どんな砂糖もグルコースと果糖である。そして、やはり体内で血糖値スパイクと果糖スパイクを引き起こす。

砂糖はすべて天然の糖である

ハチミツやアガベシロップには「天然」の糖が含まれていると聞いたことがある人は多いだろう。そして、乾燥マンゴーのようなドライフルーツも、原料が果物だから「天然」の糖が含まれているとよくいわれる。

まあ、ふつうの砂糖よりも体によさそうだと思うのもしかたがない。でも考えてほしい。砂糖はすべて天然の糖だ。どれも植物からつくられるからだ。なかには、野菜(テンサイ)からつくられる砂糖もある。だが、まったく違いはない。よい砂糖も悪い砂糖もないのだ。原料の植物に関係なく、すべての砂糖は同じである。

大事なのは分子だ。小腸に達するころには、砂糖はすべてグルコースと果糖になる。原料がテンサイでも、リュウゼツランでも、マンゴーでも、体での処理には違いがない。

果物は加工されて性質を変えられ、食物繊維を抜きとられたとたん、ほかの砂糖と同じになる。

ドライフルーツに食物繊維が残っているのは本当である。ただ、果物から水分がとり除かれているので、生で食べるよりたくさん食べがちだ。そのため体が大量の糖をすばやく吸収し、その結果、大きな血糖値スパイクと果糖スパイクを起こしてしまう。

糖は果物から取ればいい

生きるために砂糖を食べる必要はない(思いだそう。体に必要なのは果糖ではなくグルコースだけだし、もし食べられなくても体内で生成できる)。また、エネルギーを得るためにも砂糖は必要ない(砂糖はむしろ、エネルギーのレベルを低下させる)。

原料に関係なく、砂糖はすべて楽しみのために食べるものなので、どれでも好きな砂糖をほどほどに食べよう。ふつうの砂糖よりハチミツが好きなら、ハチミツをどうぞ。ブラウンシュガーを入れてお菓子を焼くのが好きなら、それもオーケーだ。

甘いものが欲しいとき、いちばんいいのは生の果物をそのまま食べることだ。思いだしてほしい。それがグルコースと果糖をとる自然な方法、つまり、少量を、濃縮せず、食物繊維と一緒に食べるという方法だ。

オートミールには砂糖ではなく薄切りのリンゴを、ヨーグルトにはハチミツではなくベリー類を入れて食べよう。

そのほか、オートミールやヨーグルトに加えるのによい優れものは、シナモン、カカオパウダー、刻んだ無糖ココナツ、無糖ナッツバターなどである(不思議に思うかもしれないが、ナッツバターはそれだけでも甘いし、混ぜればりっぱなデザートが出来上がる)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米製造業新規受注、9月は前月比0.2%増 関税影響

ワールド

仏独首脳、米国のウクライナ和平案に強い懐疑感 「領

ビジネス

26年相場、AIの市場けん引続くが波乱も=ブラック

ワールド

米メタ、メタバース事業の予算を最大30%削減と報道
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 8
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 9
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 10
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中