最新記事

ライフスタイル

「奨学金880万円」借りて大学進学した彼女が東京で見つけた仕事とは

2022年2月6日(日)08時18分
千駄木 雄大(編集者/ライター) *東洋経済オンラインからの転載

「それまで地元から一度も出たことがなかったので、聞いたこともない地名でも『地元よりは都会でしょ』と思ってたんです。でも、いざ行ってみると、キラキラの東京ライフという感じではなくて......。とはいえ、合格した大学の中では一番偏差値が高かったので『まぁ、いいか』と、わりとすぐに気持ちは切り替わりました」

高校時代こそ、テレビで見るような華やかな東京生活に憧れていた志保さんだったが、実際に東京(正確には神奈川だが)で暮らし始めたことで、自分でも気づかなかった一面を知るようになる。いわゆる、文化系の人間だったのだ。

志保さんが一人暮らしを始めたのは、大学と横浜の中間地点にある街。それが影響し、次第に横浜・若葉町にある名画座「シネマ・ジャック&ベティ」に通う日々が始まった。

「『ジャック&ベティ』は一般的に想像される、2本立て的な名画座ではなくて、単館系の新作ロードショーを、他よりも少し遅めに上映しているような映画館です。昔ながらのレトロな映画館で、映画好きが集まるせいか客層も良くて、雰囲気がすごくいい場所で。そこで1日3本立て続けに見たりしていました。友達とどこかに出かけて遊ぶタイプではなかったので、『ジャック&ベティ』にこもっているか、学校行っているか、バイトしているか......そんな学生生活でしたね」

もともと、両親が映画好きで実家はWOWOWを契約していたこともあって、志保さんは子どもの頃から映画好きだったという。しかし、地元には映画館はなく、当然、単館系作品を上映する名画座も存在しなかった。そんな彼女が「ジャック&ベティ」に吸い寄せられ、より映画好きになっていったのは、ある意味、まっとうな流れといえよう。

大学時代には一風変わったバイトも

名画座通いと同様、「地元では体験できない変わったことがしたい」......と志保さんが思ったのかは定かではないが、アルバイトも一風変わった場所でしていたようだ。

「2年生の頃は、出版社の雑誌の編集部で働いていました。それ以外にもいろんなところで働いていて、大学の講義がある期間は週3日程度、朝6時〜8時までカフェでバイトして講義に出たり、夏休みになると朝9時から深夜まで働いたりもしていました。長期休暇は、月に10万円は稼いでましたね。ただ、親からは『扶養の範囲で』と言われていたので、年間で100万円ぐらいだと思いますけど」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=円安/ドル高進む、高市新政権の財政政

ワールド

米ロ首脳会談の実現に暗雲、ロの強硬姿勢が交渉の足か

ワールド

ロ、ドンバス掌握など改めて要求 米への非公式文書で

ビジネス

米FRB、簡易決済口座新設検討 銀行以外も利用可能
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない「パイオニア精神」
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 6
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 7
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    増える熟年離婚、「浮気や金銭トラブルが原因」では…
  • 10
    若者は「プーチンの死」を願う?...「白鳥よ踊れ」ロ…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中