最新記事

健康

10年後の死亡率が最も低い睡眠時間は何時間か 日本人が知らない睡眠負債の恐怖

2019年2月25日(月)18時15分
西野精治 (スタンフォード大学医学部精神科教授 ) *東洋経済オンラインからの転載

「睡眠負債」を重ねることで起こる、さまざまな危険とは demaerre - iStockphoto


1日24時間という限られた時間の中で、やらなければいけないことが山積している。だから、睡眠時間を犠牲にするのはやむをえない。とかく日本人は、そう考えがちです。
もともと日本人の場合、睡眠時間を削って何かに励むことを「美徳」のように捉え、「寝る間も惜しんで」仕事や勉強をすることが必要だ、というメンタリティが根づいてしまっているのでしょう。しかし、それが逆に、体調をガタガタにするだけでなく、仕事の成果さえも台無しにしてしまっていたとしたら......。
「睡眠負債」は取り返しのつかない結果をもたらしかねません。健康も維持しながら、仕事で成果を上げるために最適な睡眠時間とは。スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)の西野精治所長が、近著『スタンフォード大学教授が教える 熟睡の習慣』から世界各国の研究結果をもとに解説します。

こんなに危険な「睡眠負債」

「睡眠負債(sleep debt)」という表現を用いて、積み重なる睡眠不足に警鐘を鳴らしはじめたのは、アメリカ人のウィリアム・C・デメント教授です。

私も籍を置くスタンフォード大学睡眠生体リズム研究所の創設者で、90歳を超えられた今もご健在。今日の睡眠研究を牽引してこられた第一人者です。レム睡眠を発見したシカゴ大学のクライトマン研究チームのひとりでもあり、急速眼球運動のある睡眠のことを「レム睡眠」と呼びはじめたのも、デメント教授でした。

「ヒトは一定の睡眠時間を必要としており、それより睡眠時間が短ければ、足りない分がたまる。つまり眠りの借金が生じる」

これを「sleep debt」と呼び、「借金がたまると、脳や身体にさまざまな機能劣化が見られる。睡眠不足は危険である」と呼びかけたのです。1990年代のことです。

newsweek_20190225_172253.jpg

アメリカでも、日本と同じように「睡眠不足(sleep insufficiency)」という言葉は一般によく使われています。では、睡眠不足と睡眠負債はどう違うのか。いうなれば、「手持ちのお金が足りず、借りをつくるものの、すぐに返済できる状態」が「不足」、「借金に次ぐ借金で、借りがどんどんふくらみ、返すあてもなく、にっちもさっちもいかなくなる」のが「負債」。こう考えると違いがわかりやすいでしょう。

ニュース速報

ビジネス

情報BOX:緊急事態宣言を受けて休業を発表した主な

ビジネス

航空業界2500万人の雇用喪失も、渡航禁止などで=

ワールド

医療用品の輸出、制限しないよう引き続き米に要請へ=

ワールド

米超党派議員団、戦略石油備蓄の積み増しに向けた法案

MAGAZINE

特集:ルポ五輪延期

2020-4・14号(4/ 7発売)

「1年延期」という美談の下に隠れた真実── IOC、日本政府、東京都の権謀術数と打算を追う

人気ランキング

  • 1

    「コロナ失業」のリスクが最も高い業種は?

  • 2

    新型コロナの物資配給に「社会的距離ゼロ」のバングラデシュ

  • 3

    「コロナ後の世界」は来るか?

  • 4

    マスク姿のアジア人女性がニューヨークで暴行受ける

  • 5

    BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロ…

  • 6

    コロナで破局?ベビーブーム? 「自宅待機」で変わ…

  • 7

    在日ドイツ大使館、日本の新型コロナ検査数の少なさ…

  • 8

    イタリアを感染拡大の「震源地」にした懲りない個人…

  • 9

    コロナウイルスで露呈した中国の本性(一応、ジョー…

  • 10

    夏には感染は終息する、と考えていいのか? 

  • 1

    BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロナウイルス拡大防止に

  • 2

    「コロナ失業」のリスクが最も高い業種は?

  • 3

    台湾人だけが知る、志村けんが台湾に愛された深い理由

  • 4

    ブラジル大統領ロックダウンを拒否「どうせ誰もがい…

  • 5

    日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜなのか?

  • 6

    日本が新型肺炎に強かった理由

  • 7

    ドイツ政府「アーティストは必要不可欠であるだけで…

  • 8

    人前で「コロナ」と言ったりマスクをするだけで逮捕…

  • 9

    中国からの医療支援に欠陥品多く、支援の動機を疑え…

  • 10

    新型コロナウイルスは、長年にわたるヒト-ヒト感染で…

  • 1

    一斉休校でわかった日本人のレベルの低さ

  • 2

    日本が新型肺炎に強かった理由

  • 3

    「コロナ失業」のリスクが最も高い業種は?

  • 4

    BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロ…

  • 5

    ドイツ政府「アーティストは必要不可欠であるだけで…

  • 6

    日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜなのか?

  • 7

    韓国はなぜ日本の入国制限に猛反発したのか

  • 8

    新型コロナショック対策:消費税減税も現金給付も100…

  • 9

    フランスから見ると驚愕の域、日本の鉄道のあり得な…

  • 10

    豪でトイレットペーパーめぐって乱闘 英・独のスー…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月