ドラマ版『エイリアン』には『ブレードランナー』的な魅力が――リドリー・スコットのDNAを継ぐ「非情」の世界
Mean and Honest Alien Franchise
100%機械のアンドロイドなら、企業のプログラムどおりに任務をこなす。だがモローは自らの意思で任務を遂行する。
過去の人生の記憶を葬り、雇い主が死んだ後も任務を全うしようとする。自身が言うとおり、「人間の最悪の部分を集めた」存在になる。
『エイリアン』の世界で、これほどおぞましい変容はない。怪物たちのグロテスクな暴力は自然の摂理、思い上がった政府や企業への天罰だ。そしてアンドロイドは、彼らをつくった強欲な権力者の欠点と価値観を体現する。
だが仲間の乗組員と苦楽を共にしながらも、企業の手先となることを選ぶモローは?
彼の選択は、シェークスピアの『ベニスの商人』でヒロインが求婚者を品定めする際のセリフを想起させる。「よくて少し人間以下」で「獣より少しマシ」な程度なのだ。