「テニスが全てだった」実力派女子選手の人生を変えた「出産」経験...彼女が見据える未来とは
Winning Mentality

プロテニス選手として、母親としてタウンゼントは挑戦を続ける RICH STORRY/GETTY IMAGES
<母のおなかの中にいる頃からテニスと関わっていたテイラー・タウンゼント。出産後も現役を続ける彼女だが、マインドセットは大きく変わったようだ>
テイラー・タウンゼントは生まれる前からラリーの感覚を知っていた。彼女がおなかにいる時に母親がテニスをやっていたからだ。
それから24年後、タウンゼント自身も息子を妊娠中にテニスをしていた。それもプロの選手として。「テニスをすること」と「母親になること」がどれほど深く彼女の人生に結び付いているかを物語るエピソードだ。
5〜6月に行われた全仏オープンに出場した際、彼女は本誌の取材に応じ、テニスは「自分のDNAに刻まれている」と語っていた(彼女が全仏オープンの舞台であるローラン・ギャロスに立ったのは、2023年以来だった)。
シカゴ出身のタウンゼントは現在29歳。16歳でプロに転向し、今やアメリカを代表する選手となったが、ここまで来るにはけがもあれば出産もあり、つらい敗北もあった。
ダブルスを得意とする彼女は、四大大会の全てで決勝に進出。昨年のウィンブルドン選手権と今年1月の全豪オープンでは優勝を飾っている。ダブルスでの世界ランクは、ペアを組むカテリナ・シニアコバに次ぐ2位だ。
コーチのジョン・ウィリアムズは日頃から彼女に、成功は努力と実力の結果であって偶然の産物ではないと言い聞かせている。「テニスの世界で一番大事なのは、どこまで自分を信じられるか、どこまで自分の力を発揮できるかだ」。ウィリアムズは本誌にそう語った。「一度でも優勝できたのなら、それは偶然のたまものではなく、自分のスキルと試合をコントロールする力を発揮した結果なんだ」