ロンドン崩壊から『28年後...』革命的ゾンビ映画、「待望の続編」を読み解くキーワードは「コロナとEU離脱」?
A Long-Overdue Follow-Up
スパイクとアイラが探し当てた医師ケルソン(レイフ・ファインズ)はこの28年間、感染者と平和的とは言えないが共存関係を保ってきた謎めいた人物だった。
アクション映画の主人公が12歳の少年とはリスクの高い設定だが、14歳のウィリアムズは見事にそれに応えている。勇敢だが恐怖を捨てられず、子供らしさが残るスパイクの存在は、内臓を食い尽くすゾンビがあふれる物語に感情的なリアリティーをもたらす点でも貢献している。
ウィリアムズの演技は、ファインズやカマー(主人公に助けられる姫というステレオタイプになりやすい役を、欠点はあるが魅力的な女性に昇華させている)ら大物俳優にも引けを取らない。奇妙で興味深いラストシーンが示唆するように、次作にも登場すると期待できそうだ。
コロナとEU離脱の後で
ゾンビ映画はホラーの中でも特に(吸血鬼映画を除いて)、製作された時代の政治的・文化的背景を反映した寓話として解釈しやすい。『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』は当時のホラー映画では珍しく黒人が主人公で、60年代の潜在的な人種差別が背景にあった。
2004年に公開された『ドーン・オブ・ザ・デッド(Dawn of the Dead)』(『ゾンビ』のリメーク版)で大型ショッピングモールに立て籠もった生存者たちに襲いかかったゾンビの群れは、20世紀後半の消費主義に対する批判だった。