最新記事
映画

ロンドン崩壊から『28年後...』革命的ゾンビ映画、「待望の続編」を読み解くキーワードは「コロナとEU離脱」?

A Long-Overdue Follow-Up

2025年7月4日(金)16時05分
デーナ・スティーブンズ(映画評論家)
映画『28年後...』レイジウイルスの「感染者」

レイジウイルスの「感染者」は凶暴化しながら生きている

<超高速ゾンビでホラー映画史を変えた『28日後...』シリーズ最新作が描くのは「触れてはいけない」島国になったイギリスの姿で──(ネタバレなし・あらすじ・レビュー)>

2002年に公開された『28日後...(28 Days Later)』は、ゾンビホラー映画史の転換点となった。

映画『28日後...』予告編


監督のダニー・ボイル(Danny Boyle)と脚本家のアレックス・ガーランド(Alex Garland)は、1968年の『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド(Night of the Living Dead)』から始まったぎくしゃくと動くゾンビを、超高速で動き回って人間を食べるモンスターに変えた。


新しい世紀の到来と当時新しかったデジタル情報時代に、超高速で動くゾンビはぴたりとはまった。

世界は誰も追い付けない速さで変化しており、人間を襲うゾンビ──生き返った死体ではなく、人間を凶暴化させるウイルスの「感染者」──の驚異的なスピードは、社会の加速度的な崩壊を象徴しているかのようだった。

感染力が極めて高い「レイジウイルス」が瞬く間に広がり、パンデミックの震源地となったロンドンはタイトルどおりわずか28日間で、活気あふれる大都市から不気味なくらい静まり返った廃墟へと変貌する。

2007年に公開された続編『28週後...(28 Weeks Later)』では、ボイルとガーランドは製作総指揮として参加。前作ほどの大ヒットとはならず、批評家から絶賛されたわけでもなかったが、堅実な続編であり、2000年代半ばのゾンビブームの一角を成した。

そして、最初のパンデミックから28年後には5年早いが、ゾンビ映画に革新をもたらしたボイルとガーランドが『28年後...』で再び監督と脚本家としてタッグを組んだ。『28年後...(28 Years Later)』は前2作の続編であり、新たな3部作の第1弾でもある。

映画『28年後...』予告編

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、EU産ブランデーに関税 価格設定で合意した企

ビジネス

TSMC、米投資計画は既存計画に影響与えずと表明 

ワールド

OPECプラス有志国が5日に会合、日量41.1万バ

ワールド

トランプ氏の発言注視とロシア報道官、電話会談「失望
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    「コメ4200円」は下がるのか? 小泉農水相への農政ト…
  • 10
    1000万人以上が医療保険を失う...トランプの「大きく…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 6
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 7
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 8
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 9
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 10
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中