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これが「女性ウケする男性像」で間違いない...『君の名前で僕を呼んで』『クィア』の監督流、ひと味違う「男の世界」

Luca’s Boys

2025年5月15日(木)14時32分
ナディラ・ゴフ(スレート誌カルチャー担当)

映画『クィア/QUEER』場面写真

©2024 THE APARTMENT S.R.L., FREMANTLEMEDIA NORTH AMERICA, INC., FRENESY FILM COMPANY S.R.L. ©YANNIS DRAKOULIDIS

痛ましい雰囲気の年上男

面白いことに、『クィア』でスターキーが演じるユージーン・アラートンはその辺りが少し違う。痛ましさや物欲しげな感じを漂わせているのは若いアラートンではなく、ダニエル・クレイグ(Daniel Craig)演じる大人の男、ウィリアム・リーのほうだ。

やや臆病なところのあるリーだが、アラートンに夢中になっていく。だがアラートンは明らかに、リーのことを知識や食事や金をタダで与えてくれる存在としか見ていない。性的な関係も、あくまで与えてくれるものへの見返りだ。


女心をくすぐる世界観

だが一方でアラートンは、快楽に関する指南役としてリーがどれほど役に立っているかも認識している。アラートンはリーのいる世界には不案内だ。

だからメキシコシティを案内してくれるのはリーであり、アラートンをゲイバーに連れて行き、彼が「クィア」な外国暮らしに染まっていく橋渡しをするのもリーだ。

グァダニーノを映画監督として唯一無二の存在にしているのは、ひと味違う愛の描き方へのこだわりだ。登場人物たちはひたすら思いを募らせており、欲する心の強さが際立っている。

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