これが「女性ウケする男性像」で間違いない...『君の名前で僕を呼んで』『クィア』の監督流、ひと味違う「男の世界」
Luca’s Boys

『クィア』のアラートンをはじめ、これまでグァダニーノ監督が生み出してきた男性キャラ PHOTO ILLUSTRATION BY SLATE. PHOTOS BY A24, MGM, YANNIS DRAKOULIDIS/METRO GOLDWYN MAYER, AND A24ーSLATE
<最新作『クィア/QUEER』が公開中。ティモシー・シャラメを筆頭に、ブレイク前の若い男性俳優をスターへと進化させてきたルカ・グァダニーノ監督のひと味違う「愛の描き方」とは?──(映画解説)>
『クィア/QUEER(Queer)』は、ヒット作『チャレンジャーズ(Challengers)』に続くルカ・グァダニーノ(Luca Guadagnino)監督の最新作。ファンにとっては、グァダニーノの描く男子をまたも堪能できるチャンス到来だ。
グァダニーノはこれまで、ブレイク前の若い男性俳優をポケモンのごとく集めては光り輝くスターへと進化させてきた。
『君の名前で僕を呼んで(Call Me by Your Name)』や『ボーンズ アンド オール(Bones and All)』で主人公を演じたティモシー・シャラメ(Timothée Chalamet)しかり、『チャレンジャーズ』のジョシュ・オコナー(Josh O'Connor)とマイク・ファイスト(Mike Faist)しかりだ。
そして『クィア』でファンの目を楽しませてくれるのは、2人の主人公のうちの1人を演じるドリュー・スターキー(Drew Starkey)だ。
ちなみに本作の原作は、ウィリアム・バローズ(William S. Burroughs)が1985年に発表した同題の中編小説。メキシコシティを舞台に、同性愛者のアメリカ人熟年男性が、海軍から除隊したばかりの若い男性に魅せられていく物語だ。
グァダニーノが描く若い男性キャラクターは、独特な形の欲望を紡いでポップカルチャーに影響を与えてきた。それは男っぽい肉体美とか派手なカリスマ性よりも、グァダニーノの芸術的ビジョンによるところが大きい。
だいたいハリウッドでは、才能と美貌に恵まれた男など珍しくもなんともない。それにグァダニーノ作品の主演俳優たちは従来的な意味で言えば飛び抜けた美形ではない。では、彼らは何が違うのか。