これが「女性ウケする男性像」で間違いない...『君の名前で僕を呼んで』『クィア』の監督流、ひと味違う「男の世界」
Luca’s Boys
グァダニーノの描く男性キャラクターにはある種の共通項がある。型破りながらも強い魅力の持ち主で、しなやかさを感じさせる若い男だ。性的指向はとにかく、なよっとした色っぽさを備えている。
だが、彼らが同性愛者の男性だけでなく、多くの女性からも熱い視線を送られる理由は、肉体的な魅力もさることながら、彼らの強い思慕の念だ。それは俳優の身体的な特徴やグァダニーノの華やかでエロチックな美意識と組み合わさって、独特の男の魅力を形作っている。
グァダニーノの描く若い男性はいずれも、一人の美少年キャラクターのバリエーションと言ってもいい。恋人の目から見てこのキャラクターは、愛についても世間についても教え導いてやらなくてはならない、哀れで愚かな存在だ。
『君の名前で僕を呼んで』でシャラメが演じた主人公のエリオの世界は、恋人のオリバーと一緒に過ごした夏の間、オリバーを中心にして回っている。『ボーンズ アンド オール』で同じくシャラメが演じる青年リーは、愛する人に自分の全てを貪り尽くしてほしいと願っている。
『チャレンジャーズ』では、1人の女性の愛情をめぐるパトリック(オコナー)とアート(フェイスト)の戦いが描かれる。2人とも同じ女性を愛し続け、お互いを強く意識しながらも、ある種の親密な関係を築いている。
いずれのキャラクターも、朝も昼も夜も思いを募らせている。自分の官能をくすぐる相手しか目に入らず、現実世界で手に入るものには目もくれない。欲しいのは「君の名前で僕を呼んで」くれるような相手だけなのだ。