アンディ・ウォーホルとの「大きな共通点」も...唯一無二の美術館を作った「バーンズ」とは何者なのか?
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ゴッホ『郵便配達人ジョセフ・ルーラン』と美術評論家ブレイク・ゴプニック
<2500点もの名画を集め、「バーンズ・コレクション」を作り上げた大富豪アルバート・バーンズ。その驚くべき「思考」に迫る>
新著『唯一無二の美術館 アルバート・バーンズとアメリカンドリーム(The Maverick’s Museum: Albert Barnes and His American Dream)』で史上屈指のコレクター、アルバート・バーンズ(Albert C. Barnes)の人生に迫った美術評論家ブレイク・ゴプニック(Blake Gopnik)に、本誌メレディス・ウルフ・シザーが話を聞いた。
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──あなたの前作はアンディ・ウォーホルの評伝だった。バーンズとウォーホルに共通点はあるのか。
私のようなリサーチマニアにとって、最も大事な共通点は膨大な記録。2人とも重要な書類だけでなく、日常の記録も残した。細やかで複雑で正確な人物像を紡ぎだせるのは、そうした資料のおかげだ。バーンズは自動車事故で死亡したが、私は彼が愛した名車の数々まで調べ上げた。
──バーンズに美術の手ほどきをし、最初のコレクションを買い付けたのは友人のウィリアム・グラッケンズだった。バーンズはいつから自分の目を信じるようになった?
初回以外は自分で買い付けた。もっともポール・ギヨームらパリの画商の意見も仰いだし、ギヨームがいなければアフリカ美術に傾倒することはなかったかもしれない。
揺籃期のモダンアートは評価が定まらず簡単に買えたから、一人一人が新しい作品に触れながら自分のテイストを確立していった。