最新記事
スキャンダル

天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無能の専門家」の面々

Ohtani’s Betrayed Trust

2024年4月15日(月)14時30分
アレックス・カーシュナー(スポーツライター)

その一方で、自らはその口座にアクセスして、無認可の賭け屋に送金していた。大谷がそれを知ったのは、ついこの前だ。

水原がギャンブル依存症であることは間違いない。起訴状案によると、水原が賭け屋とのやりとりに使っていた口座を捜査官が調べたところ、水原は21年12月から24年1月までの間に1万9000回も賭けをしていたという。1日25回に近いペースだ。

1回の賭け金は10ドルのときもあれば、16万ドルのときもあった。結果は負けがはるかに多く、最終的に賭け屋に4070万ドル(約62億円)もの借金をつくることになった。

それだけ聞くと、水原はギャンブル依存症に陥った哀れな男に見えるかもしれない。だが、その借金を返すために水原がやったことから浮かび上がるのは、実にあくどい人間性にほかならない。

予想以上に悪質な手口

大谷の表向きの発言はどうあれ、大谷と水原は仕事仲間であると同時に友人だった。その友人から水原は巨額の金を盗んだだけでなく、大谷が英語を話せないこと、そして自分が英語の世界との橋渡し役であることを悪用したのだ。

大谷がプライベートをかたくなに守りたがることは有名だが、水原は、そんな大谷についてもっと知りたいアメリカのメディアやファンと大谷の間を取り持つ唯一の窓口でもあった。

そこで水原がやったのは、橋渡しではなく、誰が大谷にアクセスできるかを選ぶ門番だった。

当局の調べでは、水原の賭博に野球は含まれていなかった。もし含まれていたら、たとえ大谷は関与していなくても、MLBは大きな頭痛の種を抱えることになっただろう。

ある意味で、水原はスポーツ賭博の規制が正しいことを示す格好の例だ。ドラフトキングスやファンデュエルなど、きちんと認可されたスポーツ賭博業者なら、水原はあそこまで借金できなかっただろうし、そもそも職種上、利用できなかったかもしれない。

水原は別の意味でも大谷に大きなダメージを与えた。大谷は被害者にすぎなかったことがどんなに明らかになっても、実のところ大谷自身が賭博に夢中になっていて、水原が大谷をかばったのだといった陰謀論を信じるスポーツファンは一定数残るだろう。

自分を信頼してくれている人物から1600万ドル以上をだまし取るのにましな方法などないが、水原がそれで金の延べ棒でも買って、それを使ってギャンブルの借金を返済していたら、つまり大谷の口座から賭け屋に直接送金したのでなかったら、大谷への影響はまだ軽かったろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:マムダニ氏、ニューヨーク市民の心をつかん

ワールド

北朝鮮が「さらなる攻撃的行動」警告、米韓安保協議受

ビジネス

NY外為市場=ドルおおむね下落、米景気懸念とFRB

ビジネス

ステーブルコイン普及で自然利子率低下、政策金利に下
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 8
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 9
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 10
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中