最新記事

朝ドラ

史上最低レベルの視聴率で視聴者が反省会まで 朝ドラ「ちむどんどん」、沖縄県民が挙げた問題点とは

2022年8月8日(月)12時00分
東野りか(フリーランスライター・エディター) *PRESIDENT Onlineからの転載

優子は子供たちが小さい頃からどこか危なかっしい部分があった。

非力ながらも土木工事に従事して体を壊したのは、子供たちの運動靴や体操着を購入するためだが、にいにいが誤って飼っていた豚の前に置きっぱなしにしたため、靴も体操着もズタボロに。それでもにいにいに向かって聖母のようにほほ笑みを絶やさない優子......。視聴者は怒りを通り越して、もはや彼女の精神構造を心配してしまうレベルだったのだ。

「女親というのは、たいがい息子には甘いもの。彼が何歳になってもかわいくて仕方がないのはわかります。でも、優子の度を越した甘さや優しさは子供を増長させ、見ている人間をイライラさせるだけです。沖縄の人間はおっとり優しい人が多いとは思いますが、にいにいと同様共感ができずイラーっとさせるキャラ設定は、ある意味ウチナンチュへの侮辱ですよ(苦笑)。これでは朝から見たくなくなる」(前出B子さん)

後日放送のエピソードで、優子の桁外れの優しさは、第二次世界大戦の沖縄戦で家族を亡くしたトラウマがあったからだと判明した。しかし、それを差し引いても甘すぎる。

インテリ和彦の優柔不断・傲慢ぶり

違和感のある役柄はまだほかにもいる。にいにいほど"おバカ"ではなく、むしろ知的レベルが高いと思わせるのが、暢子の幼なじみの和彦(宮沢氷魚)。この人も戦犯かもしれない。

とにかく視聴者をイラつかせることこの上ない。インテリぶりから起因する優柔不断さや傲慢ぶりがそれに拍車をかけている。

ちなみにドラマのキャラ設定が視聴者の共感を得られないのは前述のとおりだが、シチュエーションも唐突すぎてこれまた共感できない。

例えば、暢子と約10年ぶりに東京で再会した和彦は新聞記者になっていた。暢子が働いていたイタリア料理店のオーナーが、その新聞社の記者と懇意にしていたので「暢子は常識がなさすぎて店では使えない。だから、あなたの新聞社でボーヤ(下働き)として鍛えてくれ」と記者に頼み込む。そして新聞社の記者となっていた和彦と再会するというわけだ。

しかし、だ。暢子に常識がないのは前からわかっていたことであり、なぜ今さらそれをオーナーが言い出すのか、しかも人手不足の料理店からわざわざボーヤに出す意味もわからない。

つまりは和彦と再会させるためのドラマ演出上の苦肉の策。この類いの無理やりなシチュエーションが、ドラマのあちこちに散りばめられている。

話を戻そう。

和彦の戦犯確定エピソードは2つ

和彦の戦犯確定の2つ目エピソードは、遺骨収集をするご老人に向かい「今のお気持ちをお聞かせください」と詰め寄る取材マナーのかけらもないシーン。しかも、ご老人は事前に取材を拒否していたのだ。

「メディアとして権威が失墜した現在ならいざ知らず、70年代のメジャーな新聞社なら、確かにこうした無礼な手法はやりかねないかもしれません。大新聞社が取材をやってあげているという上から目線な態度は、かなりリアルかも。ただ、視聴者の印象は悪い」とB子さん。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

仮想通貨詐欺のネットワーク摘発、5.4億ドル資金洗

ビジネス

中国中古住宅価格、6月は下落幅拡大 新築も伸び鈍化

ワールド

訂正「農業犠牲にせず」と官房長官、トランプ氏コメ発

ワールド

香港の新世界発展、約110億ドルの借り換えを金融機
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 4
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中