最新記事

韓国映画

カン・ハンナ「私のおすすめ韓国映画5本」とマブリー愛、韓国映画が面白い理由

2021年5月5日(水)12時20分
カン・ハンナ(歌人・タレント・国際文化研究者)

magSR20210505kanghannah-4.jpg

『犯罪都市』 EVERETT COLLECTION/AFLO

おすすめする理由の1つは、刑事を演じた主演のマ・ドンソク。いま韓国映画と言えば、彼を語らないわけにはいかない。

苗字とラブリーと掛け合わせて「マブリー」と呼ばれるけれど、私も大好き。かわいいですよ。一度会ってみたい。

『犯罪都市』はマブリーのよさが一番出ている作品だと思う。モデルになった刑事が韓国の番組に出ていたが、彼に本当によく似ていた。その話題性も映画の人気を後押しした。演じた刑事は、屈強な人物だが、酔いつぶれて寝坊するなど人間味があって笑わせるし、共感を呼ぶ。マ・ドンソクという韓国映画界に登場した一人のスターを味わってほしい。

マ・ドンソクは高校生のときにアメリカに移住していて、実はアメリカ国籍だ。英語も堪能だし、「チーム・ゴジラ」という会社を作って映画のシナリオ開発にも携わっている。『犯罪都市』のシナリオにも少し関わっているらしい。

キャラクターが魅力的だし、役者であり、作り手でもある。ものすごい才能で、今後の活躍が楽しみ。

最後に紹介するのは、『完璧な他人』(2018年)。珍しいケースだが、イタリア映画のリメイク版だ。面白いのは、この韓国版がベトナムでリメイクされたこと。韓国のスタッフが顧問として入り、ベトナムでも大ヒットしたようだ。

アジアからアジアへ。韓国映画の発展とグローバルなコンテンツの広がりを示す、面白い例だと考えている。

この映画は、物語の95%が家の中のリビングルームで起こる。40歳を超えた幼なじみの男たちとその妻、3組の夫婦と男性1人の計7人が、引っ越し祝いで集まって食卓を囲む。

ただ座ってしゃべっているだけで、大きなスクリーンで観ないといけない作品でもないのに、530万人もの観客を動員していた。それで気になって観てみたら、これが面白い!

magSR20210505kanghannah-5.jpg

『完璧な他人』 EVERETT COLLECTION/AFLO

精神科医である1人の女性が「全員スマホを机に置いて、届くメールやかかってくる電話を全て公開しよう」と言う。結論だけ言うと、秘密は大事だよね、と。秘密が全てオープンになり、みんなボロボロになってしまう。

まさにブラックコメディー。この映画をきっかけに、ブラックコメディーというジャンルがこれから盛り上がるかもしれない。

観客は40代が多かったらしく、30代、40代の人たちには「そう来るか!」と思わせる場面もあれば、「分かる~」というせりふもある。出演しているのは、演技力と言えばこの人という俳優ばかりで、キャスティングが素晴らしい。

韓国では通常、映画に出る俳優とテレビドラマに出る俳優は異なる。大学で4年間、演技を学問として修めなければよい役者になれないとされ、アイドル出身だと映画にはなかなか出演できない。この映画はまさに映画俳優たちの作品。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ドイツ鉱工業生産、9月は前月比+1.3% 予想を大

ビジネス

訂正-独コメルツ銀、第3四半期は予想に反して7.9

ビジネス

リクルートHD、純利益予想を上方修正 米国は求人需

ビジネス

訂正-〔アングル〕米アマゾン、オープンAIとの新規
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイロットが撮影した「幻想的な光景」がSNSで話題に
  • 4
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 5
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 6
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇…
  • 7
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 8
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中