最新記事

K-POP

韓国、アイドルオーディション番組「PRODUCE 101」ヤラセ問題でK-POP離れ進むか

2019年11月13日(水)19時48分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

なぜヤラセで逮捕されるのか?

ヤラセについては、日本でも今まで何度も問題視されてきた。最近ではTBSの『クレイジージャーニー』と、テレビ朝日の『スーパーJチャンネル』が、放送倫理・番組向上機構によって審議にかけられたことが記憶に新しい。しかし、これらの番組では問題を認めた場合でも関係者の社内処分に留まっている。今回、韓国で問題になっている『PRODUCE X 101』は何が違うのか?

今回の問題は、視聴者の信頼を裏切っただけでなく、番組の特徴でもあった「視聴者投票システム」がキーポイントとなったようだ。視聴者が携帯から投票する際、送信1回に100ウォン(約9円)が発生していたことから詐欺罪で警察が動くこととなった。送信料100ウォンのうち約60%が放送局の元へ入っていることが報道され、一部視聴者からは払い戻しの議論がなされている。また、ヒット曲のランキングを同じ視聴者投票による得点を加算することで決定していたSBS『人気歌謡』KBS『ミュージックバンク』でも方法見直しの可能性が出てきている。

1〜20位の得票数が同じ数字の倍数

newsweek_20191113_193550.jpg

得票数操作の証拠とされた計算式 MBC / YouTube

 

ことの発端は、5〜7月に放送されたシーズン4『PRODUCE X 101』での出来事だった。シーズン4は放送を通して総投票数1364万票を集めている。これは韓国国民の27%に相当する数であり、これだけでもその人気がうかがえる。番組は回を進める毎に人気得票数を公表し、挑戦者の人数を絞っていくのだが、最終結果は1位と2位の得票数差が29978票。さらに、3位と4位、6位と7位も同じく29978票差だった。これが20位まで5回も繰り返され、さらに1~20位までの得票数の数字が、全て同じ数字の倍数で構成されていることも明らかになった。これに疑問を持った視聴者が指摘し、放送局であるMnetが内部調査後に警察に報告、担当プロデューサーが拘束されることとなった。

警察は5日、放送局Mnetの親会社であるCJ E&Mに追加押収捜索を行った。これまでの事例を見るとチャンネル使用事業者の立場であるCJ E&Mの責任はあまり重く追及はできないだろうとみられていた。韓国の放送内容規制を担当する放送通信審議委員会でも、チャンネル使用事業者を直接監督する委員会は存在しないからだ。しかし、CJ E&Mにも監督責任があるのではないか?という世論の高まりを受け、12日ソウル地方警察署サイバー捜査隊は、CJ E&M副社長兼Mnet代表であるシン・ヒョングァンの家宅捜索を行ったと発表した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アップル、1─3月業績は予想上回る iPhoneに

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、円は日銀の見通し引き下げ受

ビジネス

アマゾン第1四半期、クラウド事業の売上高伸びが予想

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中