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『北斗が如く』ケンシロウにも倒せない『龍が如く』

Paradise Is a Little Lost

2018年11月5日(月)17時15分
ジェン・グレノン

ケンシロウのアクションは迫力満点だが、操作に変化がないのが難点 SEGA

<大人気『龍が如く』シリーズ制作スタジオが発表した名作漫画とのコラボ『北斗が如く』はここが残念>

セガゲームの人気ソフト『龍が如く』(英語版名『Yakuza』)シリーズの制作スタジオが、『北斗が如く』(英語版名『Fist of the North Star: Lost Paradise』)を発表した。大人気漫画『北斗の拳』が原作のアクションゲームだ。

プレーヤーが操る主人公は「7つの傷を持つ男」ケンシロウ。敵の秘孔(血や神経の流れをつかさどるツボ)を突く「北斗神拳」という超強力な武術の達人だ(殴るだけで数秒後に相手の頭や体が爆発する。「おまえはもう死んでいる」という決めぜりふはここから来ている)。

『北斗』はビジュアルが素晴らしく、ボスキャラクターとの戦闘も派手で、ミニゲームも面白い。しかし戦闘や物語が単調なところが、何とも残念だ。

6月にゲーム見本市「E3」でデモ版を試したときは、度肝を抜かれた。笑えるほどやり過ぎなケンシロウのとどめの一撃には、大興奮した。

製品版も面白いが、それは最初のうちだ。『龍が如く』シリーズのプレー経験がある人は、すぐに戦闘システムが同じであることに気付く。攻撃のボタン操作はこれまでの作品と同じだ。

大きく変わった点は1つ。敵を何発か攻撃したところで相手の体力ゲージの横に表示されるドクロのアイコンがコントローラーの「〇」ボタンの形に変わる。秘孔攻撃で倒せるという合図だ。〇ボタンで攻撃し、さらに指定されたボタンをもう一度押すと北斗神拳の技を使える。

素早い攻撃の後に、相手が派手な死を遂げるのは爽快だ。しかし何時間かプレーすれば、同じ動きの繰り返しになる。

さらにいら立つのは、「下積み」の時間が長いことだ。ケンシロウが目指すエデンの街にアクセスできるのは、チャプター4か5以降。それまではゲーム内の地図に、「まだ行けない場所」などを示す赤い×印がたくさんある。

このゲームには80のサブストーリーがあるが、ゲーム内の地図でそれを見つけるための明確な手段がない。サブストーリーにつながる道を探してエデンをさまよい、結局は何も見つけられないということもあり得る。

欠けているのはユーモア

おまけにプロットの魅力が不十分。『北斗が如く』は『北斗の拳』とは別の独立した物語とうたわれているが、原作に詳しくないと物語がしっくりこない。

『北斗が如く』は、ケンシロウが婚約者ユリアを捜し求める物語が柱になっている。だがプレーヤーがゲームから得られる情報は、彼女が美しい女性であり、金髪の悪者シンに誘拐されたということだけ。彼らの関係がほとんど分からないから、再会にも感情移入できない。

【参考記事】日本発のヤクザゲーム『龍が如く』がアメリカを席巻⁉

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