最新記事

大学

アイビーに比肩する名門のリベラルアーツ・カレッジがある

高校生が東大を蹴って海外へ!? グローバル化を勝ち抜くために知っておきたい米大学の基礎知識(2)

2015年12月25日(金)17時56分

スワースモア・カレッジ(ペンシルベニア州) 1864年設立、1学年350人という「少数精鋭」の典型的なリベラルアーツ・カレッジで、大学院がないにもかかわらずノーベル賞受賞者を5人出している aimintang-iStockphoto.com

 文部科学省の調査によれば、日本から海外への留学者数は2004年をピークに毎年減っている。それでも今、新しいタイプのアメリカ留学ブームが起きていると、本誌ウェブコラム「プリンストン発 日本/アメリカ 新時代」でお馴染みの在米ジャーナリスト、冷泉彰彦氏は言う。一体どういうことなのか。

 これまで主流だった「語学留学」や「大学院留学」とは違う。グローバル化の潮流を背景に、日本の優秀な高校生が「アイビーリーグ」の8校をはじめとするアメリカの一流大学を志望する、全く新しい動きが起こっているのだ。実際、予備校が海外進学を目指す高校生向けのコースを設置したり、国内の一流大学と併願していた海外の大学を選ぶ学生が少数ながら出てきたりしているという。

 実は冷泉氏は、1997年以来、ニュージャージー州にあるプリンストン日本語学校高等部で進路指導にあたってきた。プリンストンやコロンビア、カーネギー・メロンなど多くの名門大学に高校生を送り出してきた経験をもとに、『アイビーリーグの入り方――アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)を上梓した冷泉氏。アメリカの高等教育の仕組みから、秘密のベールに包まれた「アイビーリーグ入試」の実態、厳選した名門大学30校のデータまでを1冊にまとめている。

 ここでは、本書の「Chapter 1 志望校をどうやって選ぶのか?」から一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。そもそも「名門大学」とはどの大学を指すのだろうか。

<*下の画像をクリックするとAmazonのサイトに繋がります>


『アイビーリーグの入り方
 ――アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』
 冷泉彰彦 著
 CCCメディアハウス

※第1回:これまでと違う「アメリカ留学ブーム」が始まっている はこちら

◇ ◇ ◇

リベラルアーツ・カレッジとは?

 こうしたグループ全体を「名門大学グループ」と呼ぶのであれば、実はこれに加えて三つのカテゴリを加えなくてはなりません。

 それは、「リベラルアーツ・カレッジ」、女子大学の「セブン・シスターズ」、「公立大学に併設のオナーズ・カレッジ」という三つのカテゴリです。この中にも、大変に優れた大学があり、併願リストの中では十分に考慮の対象となってきます。

 まず「リベラルアーツ・カレッジ(Liberal Arts College)」ですが、これはアイビーや名門の大規模私学のように「ユニバーシティ」を名乗らない大学群です。あくまで「カレッジ(単科大学)」を名乗っていることから「手軽な」という印象を受けるかもしれませんが、決してそうではありません。

 特に、「リトル・アイビー(Little Ivy)」というニックネームで呼ばれる大学群を中心として、名門総合大学と比肩する教育体制を備えており、優秀な学生を集めているのです。その「リトル・アイビー」ですが、ホンモノのアイビーとは違って連盟組織があるわけではないので、何をもって「リトル・アイビー」とするかはいろいろな説があります。

 最も広い定義を採用するならば、

●アマースト・カレッジAmherst College(マサチューセッツ州)
●ベイツ・カレッジBates College(メイン州)
●ボードイン・カレッジBowdoin College(メイン州)
●コルビー・カレッジColby College(メイン州)
●コネチカット・カレッジConnecticut College(コネチカット州)
●ハミルトン・カレッジHamilton College(ニューヨーク州)
●ハヴァフォード・カレッジHaverford College(ペンシルベニア州)
●ミドルベリー・カレッジMiddlebury College(バーモント州)
●スワースモア・カレッジSwarthmore College(ペンシルベニア州)
●トリニティ・カレッジTrinity College(コネチカット州)
●ウィリアムズ・カレッジWilliams College(マサチューセッツ州)

 の11校、さらにこれに「カレッジ」を名乗らないウエスレヤン大学(Wesleyan University コネチカット州)とタフツ大学(Tufts University マサチューセッツ州)を加えてもいいでしょう。

 ちなみに、アイビー8校の一角を占めるダートマス・カレッジは(実際は大学院も併設されているのですが)、この「リベラルアーツ・カレッジ」のカテゴリに入れることもできます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:中国の米国産大豆購入、国内供給過剰で再開は期

ビジネス

SBI新生銀、12月17日上場 時価総額1.29兆

ビジネス

レゾナック、1―9月期純利益は90%減 通期見通し

ビジネス

三越伊勢丹HD、通期純利益予想を上方修正 過去最高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 8
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 9
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 10
    「麻薬密輸ボート」爆撃の瞬間を公開...米軍がカリブ…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中