最新記事

世界遺産

こんな人は、モン・サン=ミシェルに行ってはいけない

2015年7月24日(金)21時10分

 パリ・モンパルナス駅からレンヌ駅まで、フランス高速鉄道TGVで約3時間。そこからモン・サン=ミシェル行きのバスを使って、さらに1時間半ほどで目的地に到着します。

 島内にもホテルはありますが、ワタクシは心ゆくまで全貌を堪能すべく、奮発して、内陸側に建つ四つ星ホテルを選びました。湾に面したホテルは、バルコニーからモン・サン=ミシェルが一望できるという触れ込みでしたが、それは一部のお高い部屋に限るようで、ワタクシの部屋のバルコニーは、ほとんど雑木林に立ち塞がられ、草木の脇から申し訳程度に見えるだけでした。

特等席は、バス乗り場

 ホテルからモン・サン=ミシェルまでは約2キロ。歩いても行けますが、無料バスも巡回しています。実のところ、このバス乗り場から見るモン・サン=ミシェルが最も美しく、おまけに一切お金のかからない最高のビュー・ポイントだと思いました。

 島内に入ると、修道院までのメインストリートにはレストランやホテル、土産物屋が立ち並んでいます。その先には急な階段があり、それを登ると、修道院の入口が現れます。修道院は、主にゴシック様式ですが、内部は中世のさまざまな建築様式が混ざり合っており、数世紀に及ぶ増築と、戦争による軍事施設化などの歴史が感じられます。

モン・サン=ミシェル修道院の内部は、寂しげでがらんどう。写真で見るよりも気が滅入る Gerard Koudenburg/Shutterstock

モン・サン=ミシェル修道院の内部は、寂しげでがらんどう。写真で見るよりも気が滅入る Gerard Koudenburg/Shutterstock

 中を歩いてみると「本当に現役の修道院?」と思えるほどガランドウで、いまひとつ見応えに欠けます。ここでのハイライトは、中庭を囲む回廊ではないでしょうか。明るく開放的で美しい回廊は、薄暗い修道院の中とは対照的に、気分を晴らしてくれます。

名物にうまいものなし?

 観光地に行けば、ご当地グルメを楽しみたいもの。モン・サン=ミシェルでは、プレサレ羊とオムレツが有名です。満潮にさらされて塩分を多く含んだ草を食べた羊は、ひと味違うらしいのですが、羊肉が苦手なワタクシは、オムレツを楽しむことにしました。その昔、はるばるやってきた巡礼者に精をつけてもらうため、当時貴重な卵を使って作ったのが始まりだとか。

 発祥の店だという有名店が、島の入口「王の門」のすぐ近くにありますが、この店でオムレツを頼むことはオススメしません。なぜなら、卵3個程度のオムレツが50ユーロ(!)近くもするからです。それに、ここはフランス。水だって有料で、チップも合わせれば、シメて1万円!

これが...オススメできないオムレツ

これが...オススメできないオムレツ

 それでも美味しければ、なんとか正当化できますが、お世辞にも美味しいとは言えません。多少の塩・こしょうは入っているかもしれませんが、一般的な日本人には無味に感じられます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英シュローダー、第1四半期は98億ドル流出 中国合

ビジネス

見通し実現なら利上げ、米関税次第でシナリオは変化=

ビジネス

インタビュー:高付加価値なら米関税を克服可能、農水

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中