最新記事

映画

『抱きたいカンケイ』のセフレ現実度は?

「セックスだけでいい女」と「真剣な関係を望む男」の恋愛模様を描いたアイバン・ライトマン監督に聞く

2011年4月22日(金)13時04分
大橋 希(本誌記者)

微妙なバランス アダム(カッチャー、左)の優しさにエマ(ポートマン)は戸惑いを覚える © 2011 DW Studios L.L.C. All Rights Reserved.

『ゴーストバスターズ』をはじめ数々のコメディー作品を手掛けてきたアイバン・ライトマン監督。最近は製作者としての活躍が目立ち、『抱きたいカンケイ』は5年ぶりの監督作になる(日本公開は4月22日)。

 セックスフレンドの関係を結んだ研修医エマ(ナタリー・ポートマン)と、男友達アダム(アシュトン・カッチャー)は「嫉妬なし、束縛なし、恋愛感情なし」のままでいられるのか......? とにかくリアルで現代的なコメディーを撮りたかった、というライトマンに話を聞いた。

──主役のナタリー・ポートマンとアシュトン・カッチャーはどうだった?

このキャスティングを誇らしく思うよ。珍しい配役だが、2人を起用したら面白いだろうと直観したんだ。

普段は少年っぽい役の多いアシュトンがここでは成熟した思慮深い男性を、ドラマチックな役が多いナタリーがちょっと間抜けな女性を演じている。こういう作品では2人の間に走る「電流」がすごく大切だけど、彼らはその点もぴったりだった。

──ナタリーはプロデューサーとしても参加している。

 3年前、企画のかなり早い段階で彼女に脚本を見てもらって、彼女も色々といいアイデアを出してくれた。とても知的で独特の才能がある彼女には映画のあらゆる部分に関わってほしかったから、主役とともに、私と一緒にプロデューサーをやらないかと申し出たんだ。

──エマ役は彼女が第一候補だった?

「唯一」の候補だ。脚本を最初に読んでもらい、その後すぐに会って話をした。

──セックスだけの関係が成立するのかというのは、昔からよくあるテーマだ。この映画の現代的な視点はどこに?

 この映画が面白い点は、従来の男女の立場が逆転しているところ。真剣な付き合いをしたい、と思っているのは男のほうだ。

──あなた自身、セックスフレンドは存在し得ると思う?

 あり得ると思うが、せいぜい数週間だね。どこかの時点で夢のような世界も終わる。嫉妬や独占欲といった感情が出てきて、2人の関係は複雑になっていく。一緒に時間を過ごすほどに、より深い結び付きを望んでしまうのが人間だ。

──ナタリーの上下おそろいでない下着姿がリアルだった。誰のアイデア?

 もちろん衣装担当のアイデアだよ。とにかく私は自然でリアルな作品にしたかった。ただ正直言って、筋書きの面白さ、役者の力、時代描写などの間でうまくバランスを取りつつ、リアルなコメディーに仕上げるのは結構大変だ。

──ケビン・クラインの「ハッピーバースデー」の歌が良かった。彼が作詞作曲したようだが?

 そうだ。彼が作った曲だし、あの場面で歌うという設定自体が彼のアイデアだ。これは、ケビン・クラインという人物がどれだけ緻密に役作りをするかを示すいい例だと思う。

 元々はもっと短いシーンだったが、彼は色々なアイデアを提案してくれた。そのうちの一つが、突然現れて息子に歌を歌って......というものだった。撮影の1カ月くらい前に、ケビンが歌っている何曲かのサウンドクリップをもらい、2人で話し合ってこのバージョンにしようと決めたんだ。

──作品のテーマとライトマンという名前を聞いたとき、監督は息子のジェーソンかと思った。

 息子だったとしても、いい仕事をしてくれたと思うよ(笑)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、農場やホテルでの不法移民摘発一時停止 働き手不

ワールド

米連邦最高裁、中立でないとの回答58%=ロイター/

ワールド

イスラエル・イラン攻撃応酬で原油高騰、身構える投資

ワールド

核保有国の軍拡で世界は新たな脅威の時代に、国際平和
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中