最新記事

トレーニング

筋肉だけでなく、スピード・反射神経も高める「囚人筋トレ」の最終形

2019年12月9日(月)16時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

諦めるな、バックフリップは誰にもできる

この最新作『実戦!!!スピード&瞬発力編』で、「塀の中の筋トレ法」のマニュアルの軸となるのが、著者が「イクスプローシブ・キャリステニクス」と呼ぶトレーニング法だ。「パワー」「機能的スピード」「アジリティ(俊敏な転換能力)」という3つの運動特質を漸進的に身に付けていくのが「イクスプローシブ・キャリステニクス」だという(下図参照)。

prisonerbook191209-chart1.png

『爆発的な強さを手に入れる無敵の自重筋トレ プリズナートレーニング 実戦!!!スピード&瞬発力編』24ページより

まず、勘違いしないでいただきたいのが、ここで言う「パワー」とは単なる筋力ではないこと。一般的に、ジムではバーベルやマシンなどを使い、重い外部荷重を移動させる動作が主となっているが、これがまさに筋力である。「パワー」はその筋力にスピードがブレンドされたものを指す。

曲芸師やパルクールの熟達者のように、重力に逆らって自在に動くこと――運動における「パワー」の本質はそこにあると著者は主張する。つまりは、単なる筋トレでは身に付かない、自由自在に動かせる体をつくるというわけだ。

その「スピード」だが、私たちが通常頭に浮かべる速さ――短距離走や、パンチやキックのスピード、ジャンプなど単一の動作の速さ――には意味がないと、著者はバッサリ切り捨てる。「障害物を飛び越える」「近寄ってくる敵から素早く身をかわす」「空中で体をひねり、安全に着地する」といった運動時や危急時、まさに生き残るために必要な「機能的スピード」が真に必要だと説く。

最後に「アジリティ」。これは日本語ではなかなか馴染みのない言葉(本書では『俊敏な転換能力』と訳されている)だが、この能力を鍛えることが「パワー」と「スピード」を最大限に引き出し、真のアスリートになる近道だ。著者は本書で、究極の「アジリティ」である、バックフリップを例に説明している(下図参照)。

prisonerbook191209-chart2.png

『プリズナートレーニング 実戦!!!スピード&瞬発力編』29ページより

そして、この3つの運動特質を開発するには自重トレーニングが最も適切というわけだ。著者はこう書く。「『自分には無理だ』と決めつけることで、どれだけの人がバックフリップを諦めているだろうか?」 諦める必要はない。誰にでもこの離れ業を演じる能力が備わっているのだと。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ政権、零細事業者への関税適用免除を否定 大

ビジネス

加藤財務相、為替はベセント米財務長官との間で協議 

ワールド

トランプ米大統領、2日に26年度予算公表=ホワイト

ビジネス

米シティ、ライトハイザー元通商代表をシニアアドバイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中